主要クラウドサービスには料金割引の仕組みがある。Google Cloudが用意している「確約利用割引」(CUD)の仕組みを必要に応じて使い分けることで、企業はクラウドコストを最適化できる。
主要なクラウドベンダーは独自の割引サービスを用意している。Googleのクラウドサービス部門Google Cloud が提供する、「確約利用割引」(Commited Use Discount、以下CUD)も割引サービスの一つだ。CUDは、企業がクラウドサービスを利用するプロジェクトでコストを削減する有効な手段になる。どのような仕組みなのかを解説する。
CUDは一定の期間、一定のサービス利用を確約することで割引を受けられる仕組みだ。CUDには、リソースベースの割引と費用ベースの割引の2種類ある。
リソースベースのCUDは、GoogleのVM(仮想マシン)サービス「Google Compute Engine」(GCE)を使用してデプロイ(利用可能な状態にすること)するサービスにのみ適用される。ユーザーが特定のリージョンで一定量のGCE使用を確約すること(コミットメント)が必要だ。リソースベースのCUDを利用できる対象のサービスは以下の通りだ。
ハードウェアに対するCUDとソフトウェアに対するCUDは独立している点に注意が必要だ。1つのインスタンス(VM)に、両者を同時にコミットメント可能だが、単一のパッケージとしてまとめて購入することはできない。
費用ベースで計算する「フレキシブルCUD」では、Googleが設定した1時間当たりの最低使用料金を支払う必要がある。1年間もしくは3年間の2種類の期間で利用できる。
リソースベースのCUDがGCEのみ利用可能であるのに対して、フレキシブルCUDはGCEの他、データベースサービス「Cloud SQL」やコンテナオーケストレーションサービス「Google Kubernetes Engine」(GKE)など、さまざまなサービスで利用できる。
リソースベースのCUDの方が、フレキシブルCUDに比べて割引率が高いが、適用範囲はフレキシブルCUDの方が広い。
どちらを選ぶにも、過去のクラウドサービス利用状況や支出の傾向を把握しておく必要がある。割引を活用するためには、開発チームが初期段階からコストを考慮してクラウド戦略を策定することが重要だ。
後編はCUDのユースケースと、CUDによって企業が得られるメリットを紹介する。
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