コラボレーションツールの利用拡大に伴い、蓄積されるデータの管理方針に注意を払う必要がある。コンプライアンス維持のために、どの記録をどう保管すべきか。
ハイブリッドワーク(オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方)を実施する上でコラボレーションツールはなくてはならないものになりつつある。議事録、デジタルホワイトボードツールに書きだしたアイディア、絵文字といったさまざまなコンテンツを扱えるのもコラボレーションツールの強みだ。ただし、そのデータの保管や検索に関する方針を定めないと、さまざまなリスクに直面する可能性がある。
コラボレーションツールの活用に当たって、積極的にコンプライアンス(法令順守)を強化し、ガバナンスの戦略を持つ必要がある。対策を講じずにいると、データへのアクセスや管理が十分にできなくなるだけでなく、規制に違反した従業員の監督不十分を理由に制裁金を科せられたり、情報漏えいのリスクを負ったりすることになる。特に、テキスト以外のコンテンツがコミュニケーションの意味や雰囲気に影響を与える可能性がある場合、コンプライアンスに準拠した方法でやり取りを記録する必要がある。
「ロケットを表す絵文字が、投資を奨励するアドバイスとみなされ、訴訟に発展した事例を見たことがある」。こう話すのは、ユニファイドコミュニケーション(UC)システム向けのガバナンスおよびセキュリティツールベンダーTheta Lakeで、レギュラトリーインテリジェンス担当ディレクターを務めるステイシー・イングリッシュ氏だ。
Theta Lakeが2023年10月に公開した年次調査レポート「Digital Communications Governance, Compliance and Security Report」は、コンプライアンスを維持しながらどのようにコラボレーションツールを使うか試行錯誤する企業の取り組みを明らかにしている。同調査は、米国と英国の金融機関においてITおよびコンプライアンス分野の専門職を務める約600人に回答を求めたものだ。「コンプライアンスを維持するに当たって、コラボレーションツールのどのデータを保存するか」という質問に対しては、44%の回答者が「メール」を挙げた。次いで挙がったのが「Web会議の共有画面」「Web会議の映像」「Web会議の音声」だった。一方「デジタルホワイトボードツールに書いた情報」は25%、「絵文字を含むコンテキスト(前後の会話や状況)の情報」は24%だった。72%はWeb会議やコミュニケーションを網羅的に保存していると回答しており、データを保存すること自体を優先事項とみなしている企業の存在も明らかになった。
米TechTargetの調査部門であるEnterprise Strategy Group(ESG)でデータ保護、データ管理、アナリティクスのプラクティスディレクターを務めるクリストフ・バートランド氏は、「チャットで使う絵文字の選択が適切だったかどうかを心配するのか、それとも大量の個人識別情報(PII)が流出しコンプライアンス違反にならないかどうかを心配するのか、という話だ」と説明する。
第2回は、コラボレーションツールの導入後に発生しうるコンプライアンス問題について考察する。
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