クラウドサービスの価格上昇が続く中で、企業はデータの保存先を見直し始めた。クラウドストレージを使用してきた企業の判断は、価格上昇を受けてどのように変化しているのか。
クラウドサービスには迅速に容量拡張ができることや、インターネットを介してどこからでもアクセスしやすいといった利点があり、企業がデータの保管先としてクラウドストレージを選択する動きは広がってきた。その一方、クラウドサービスの価格が上昇することをきっかけにして企業は改めてオンプレミスに目を向け始めており、クラウドストレージからオンプレミスのストレージにデータを移行する企業もある。クラウドサービスの価格上昇は、企業の判断にどのように影響しているのか。
クラウドベンダーは、ハードウェアやソフトウェアをサービスとして提供している。こうした「as a Service」型の利用形態を採用することで、ユーザー企業は以下のようなメリットを期待できる。
一方で、クラウドサービス特有の課題に注意が必要だ。例えば以下のような注意点がある。
クラウドサービスのコストは上昇を続けている。米国政府が2023年11月に発表した生産者物価指数(PPI)では、データ処理やホスティング(サーバ貸し出し)関連のサービス価格は、前年比3.2%増となった。
世界的に景気が低迷する中で、ユーザー企業はITコストに厳しい目を向けている。IT業界はそのあおりを受け、GoogleやAmazon.comといった大手ITベンダーによるレイオフ(一時解雇)が相次いでいる。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミック(世界的大流行)はサプライチェーンを乱し、その後はインフレや金利上昇が起きた。そうした中でクラウドサービスの価格が上昇し、クラウドサービスよりもコストが変動しにくいオンプレミスストレージの需要を押し上げることにつながっている。
「クラウドサービス市場の成長が大きく減速したわけではない」と語るのは、ストレージベンダー45Drivesの共同創業者で社長のダグ・ミルバーン氏だ。クラウドサービスからオンプレミスストレージへのデータ移行には膨大なコストや労力がかかる恐れがあるため、その方法を選ぶ企業は多数派ではない。その代わりに、オンプレミスストレージとクラウドサービスを併用する利用形態「ハイブリッドクラウドストレージ」を検討する動きが広がっている。
ミルバーン氏は、「コストと利便性のバランスに対する企業の判断力は高まりつつある」と話す。例えばクラウドサービスで保管する大量のデータへのアクセスが容易にできるとしても、データ量が多くなるほどコストは膨らむため、それではコストと利便性のバランスが取れなくなる。それほどデータ量が多くない場合、クラウドサービスの利便性はコストに見合う可能性がある。企業はこの観点を重視し始めているという。
次回は、実際にデータをクラウドサービスからオンプレミスストレージに移行した企業の事例を紹介する。
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