「オンプレミス回帰」を選んだ企業はクラウドの“あの特徴”を嫌ったストレージコスト見直しの動き【第2回】

ユーザー企業の一部は、クラウドサービス利用の“費用対効果”を疑問視し、オンプレミスへの回帰を選んでいる。ユーザー企業がそうした決断を下す背景には、どのような問題があるのか。2つの事例を紹介する。

2024年04月08日 07時00分 公開
[Adam ArmstrongTechTarget]

 クラウドサービスのユーザー企業は、「コストを抑えて収益を増やす」という目的の下でクラウドサービスを利用する傾向にある。そうした目的が、クラウドサービスが最適ではない分野でのクラウドサービス利用をも促すことになった。

 ユーザー企業は支出に見合う成果を求めるようになり、一部ではクラウドストレージの利用計画を見直す動きがある。オンプレミスのストレージに回帰した組織の事例を2つ紹介する。何がオンプレミス回帰の決定的な理由になったのか。

「オンプレミス回帰」を決めた企業はクラウドの“あれ”が嫌い

 ユーザー企業はクラウドサービスのコスト最適化のために、ストレージの計画的な見直しに着手している。背景には、コストや適切なセキュリティの管理、データ制御の強化といった理由がある。

 運送会社Flex Movingの社長を務めるセルゲイ・ドバーキン氏は、クラウドストレージにかかるコストを見直した。「当社をはじめとする物流企業にとっては、オンプレミスのストレージの方が、長期的な財務目標に即していた」とドバーキン氏。オンプレミスのデータ管理手法は計画的であいまいさがないため、費用対効果に優れる他、機密データの制御権も強化できるというメリットがあった。

 公認会計士団体Chartered Professional Accountants of British Columbia(CPABC)も、もともとクラウドストレージを使用していたが、オンプレミスのストレージの比率を高めている企業だ。

 CPABCでITセキュリティ運用およびコンプライアンス担当マネジャーを務めるアントニー・グリーン氏は次のように説明する。「オンプレミスへの方針変更を決断した背景には、財務面やセキュリティ、制御におけるクラウドストレージとの微妙な違いなど、複数の要因があった」

 グリーン氏によると、データをオンプレミスのストレージに移すことで、セキュリティ監視を強化できたという。さらに、ストレージシステムのリスク管理やコンプライアンスの強化、ひいては会計データ管理の機密性向上にもつながった。


 次回は、オンプレミス回帰の懸念事項を解説する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news047.jpg

SASのCMOが語る マーケティング部門が社内の生成AI活用のけん引役に適している理由
データとアナリティクスの世界で半世紀近くにわたり知見を培ってきたSAS。同社のCMOに、...

news159.jpg

SALES ROBOTICSが「カスタマーサクセス支援サービス」を提供
SALES ROBOTICSは、カスタマーサクセスを実現する新サービスの提供を開始した。

news139.jpg

「Fortnite」を活用  朝日広告社がメタバース空間制作サービスとマーケティング支援を開始
朝日広告社は、人気ゲーム「Fortnite」に新たなゲームメタバース空間を公開した。また、...