ユーザー企業の一部は、クラウドサービス利用の“費用対効果”を疑問視し、オンプレミスへの回帰を選んでいる。ユーザー企業がそうした決断を下す背景には、どのような問題があるのか。2つの事例を紹介する。
クラウドサービスのユーザー企業は、「コストを抑えて収益を増やす」という目的の下でクラウドサービスを利用する傾向にある。そうした目的が、クラウドサービスが最適ではない分野でのクラウドサービス利用をも促すことになった。
ユーザー企業は支出に見合う成果を求めるようになり、一部ではクラウドストレージの利用計画を見直す動きがある。オンプレミスのストレージに回帰した組織の事例を2つ紹介する。何がオンプレミス回帰の決定的な理由になったのか。
ユーザー企業はクラウドサービスのコスト最適化のために、ストレージの計画的な見直しに着手している。背景には、コストや適切なセキュリティの管理、データ制御の強化といった理由がある。
運送会社Flex Movingの社長を務めるセルゲイ・ドバーキン氏は、クラウドストレージにかかるコストを見直した。「当社をはじめとする物流企業にとっては、オンプレミスのストレージの方が、長期的な財務目標に即していた」とドバーキン氏。オンプレミスのデータ管理手法は計画的であいまいさがないため、費用対効果に優れる他、機密データの制御権も強化できるというメリットがあった。
公認会計士団体Chartered Professional Accountants of British Columbia(CPABC)も、もともとクラウドストレージを使用していたが、オンプレミスのストレージの比率を高めている企業だ。
CPABCでITセキュリティ運用およびコンプライアンス担当マネジャーを務めるアントニー・グリーン氏は次のように説明する。「オンプレミスへの方針変更を決断した背景には、財務面やセキュリティ、制御におけるクラウドストレージとの微妙な違いなど、複数の要因があった」
グリーン氏によると、データをオンプレミスのストレージに移すことで、セキュリティ監視を強化できたという。さらに、ストレージシステムのリスク管理やコンプライアンスの強化、ひいては会計データ管理の機密性向上にもつながった。
次回は、オンプレミス回帰の懸念事項を解説する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
Metaに潰されないために残された生き残りの道は?――2025年のSNS大予測(Snapchat編)
若年層に人気のSnapchatだが、大人にはあまり浸透していない。一方で、AR(拡張現実)開...
「猛暑」「米騒動」「インバウンド」の影響は? 2024年に最も売り上げが伸びたものランキング
小売店の推定販売金額の伸びから、日用消費財の中で何が売れたのかを振り返るランキング...
Netflixコラボが止まらない 「イカゲーム」シーズン2公開で人気爆上がり必至のアプリとは?
Duolingoは言語学習アプリとNetflixの大人気ドラマを結び付けたキャンペーンを展開。屋外...