“ただの音声や動画”とは違う「ビデオポッドキャスト」の新しい特徴とは?「ビデオポッドキャスト」の全て【前編】

「ビデオポッドキャスト」は、ポッドキャストに動画の要素を加えたものだ。ただしビデオポッドキャストとポッドキャストの違いはそれだけではない。両者の共通点と異なる点を整理する。

2024年04月26日 05時00分 公開
[Kaitlin HerbertTechTarget]

関連キーワード

SNS | ストリーミング


 ポッドキャストの動画版である「ビデオポッドキャスト」(Vodcast)は、インターネットで動画を配信する手法だ。インターネット利用者は近年ますます動画やポッドキャストに熱中するようになっており、これら2つのコンテンツを組み合わせたビデオポッドキャストは、より幅広い層の視聴者を引き付けることができる可能性を秘めている。

 ビデオポッドキャストは、ポッドキャストに動画の要素が加わったものだが、違いはそれだけではない。両者の共通点と異なる点を整理しよう。

ビデオポッドキャストは普通のポッドキャストと“あれ”が違う

 ポッドキャストと同様、ビデオポッドキャストが扱うコンテンツはさまざまだ。天体物理学を深掘りした内容から冒険的な料理番組、世界的な指導者へのインタビューまで、おのおのの興味に合ったコンテンツがそろっている。

 ビデオポッドキャストには、録画済みの動画をスケジュール通りに公開するもの、視聴者との交流などのインタラクティブな要素を含むライブストリーミング、あるいは両者を組み合わせたものなど、さまざまな形式がある。

 以下は、ビデオポッドキャストを公開できるサービスの例だ。

  • 「YouTube」「Vimeo」「Apple Podcast」といった動画配信サービス
  • 「Podia」「Buzzsprout」といったビデオポッドキャスト専用サービス
  • 「TikTok」「Instagram」といった短編動画向けのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)
    • YouTubeにも、短編動画を共有する機能「YouTubeショート」がある。

 ビデオポッドキャストは、ポッドキャストと動画の両方の長所を併せ持つ。ポッドキャストはディスカッションやインタビュー、ストーリーテリングなどのコンテンツを通じて、聴覚に訴えかける。動画はダイナミックなシーンや実演、感情表現によって、視覚に訴えかける。

 ポッドキャストとビデオポッドキャストはどちらも音声コンテンツを提供するものだ。ただし異なる点も存在する。以下に主要な違いを示す。

違い1.フォーマット

 ポッドキャストは音声のみを提供し、ラジオ番組に似ている。ビデオポッドキャストは音声と動画を組み合わせたものだ。

違い2.利用方法

 ポッドキャストの場合、視聴者はヘッドフォンやスピーカーを使ってコンテンツを楽しむ。「ながら聞き」や外出先でのリスニングが可能だ。ビデオポッドキャストは動画を映すための画面を必要とするため、集中した視聴や視覚的なストーリーテリングに適する。

違い3.エンゲージメント

 ポッドキャストの場合、聴取者の関心を引き付けて維持できるかどうかは、ストーリーテリングの内容と配信者の人格に依存する部分が大きい。ビデオポッドキャストでは、配信者は動画のビジュアル、自身のボディーランゲージと編集スキルを通じて動画のエンゲージメントやストーリー性を高めることで、より魅力的な動画を提供できるようになる見込みがある。

違い4.コンテンツの種類

 ポッドキャストは、インタビュー、ディスカッション、ニュース、コメディー、講演などさまざまなトピックを扱う。ビデオポッドキャストは、実演、旅行記、実験、ビジュアルを生かしたインタビューなど、視覚的に説得力のあるコンテンツを重視する。

違い5.制作コスト

 ポッドキャストは、マイクや録音ソフトウェアなど比較的手頃な機材で制作できる。ビデオポッドキャストは、カメラや照明、動画編集ソフトウェアなど専用の機材を調達しなければならない。そのため制作が複雑化したり、コストがかさんだりする可能性がある。

違い6.視聴者

 ポッドキャストは、音声のみのコンテンツを好み、ながら聞きする聴取者にアピールできる。ビデオポッドキャストは、視覚的に魅力的な体験を求め、動画の付加価値を評価する視聴者に適した配信方法だ。

 総括としてポッドキャストは、ストーリーテリングの内容と配信者に焦点を当てた、聴講する場所を選ばないコンテンツだと言える。対してビデオポッドキャストは、没入的、視覚的な刺激を伴う体験を生み出せるもので、実演やビジュアルコンテンツの紹介に適する。


 技術の進歩とアクセシビリティー(利用のしやすさ)の向上により、ビデオポッドキャストの人気は高まり続ける見込みだ。仮想現実(VR)や拡張現実(AR)をビデオポッドキャストに取り入れることは、動画の没入感を高めることにつながる。インタラクティブな要素、視聴者ごとの興味に応じたコンテンツの推奨といった技術も、視聴体験の向上に貢献し得る。人工知能(AI)技術を活用した編集ツールによって、制作の効率化と簡略化が期待できるため、プロのクリエイターではない人でもビデオポッドキャスト用動画を制作しやすくなる。データに基づいて、配信者が動画をパーソナライズしたり、ビデオポッドキャストの戦略を立てたりすることで効果の最大化を試みることも可能だ。

 ビデオポッドキャストは、視聴者や配信者という個人の視点だけではなく企業のような組織の視点でもメリットがある。中編は、個人と組織それぞれの視点でビデオポッドキャストのメリットを解説する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news041.jpg

楽天グループが「楽天市場」出店店舗向けに「楽天AI大学」を公開
2024年3月より提供している店舗運営支援ツール「RMS AIアシスタント β版」に加え、AIツ...

news070.jpg

中国発AIソーシャル工作のゾッとする実態をMicrosoftがレポート
Microsoftが中国を拠点とする影響力工作の増加についてのレポートを発表した。これは米国...

news042.jpg

顧客の応募可能性をレシートで分析 読売新聞が新たな販促キャンペーンサービスを提供
システムインテグレーターのビーマップと同社子会社のMMSマーケティングは、読売新聞東京...