Teams、Slackでは解消できない「駄目なテレワーク」の“5大要因”業務効率を左右するものとは

テレワークではコラボレーションツールの活用が欠かせない。しかしコラボレーションツールを導入するだけではさまざまな問題が発生する可能性がある。その5大要因とは。

2024年05月24日 07時00分 公開
[Katherine FinnellTechTarget]

 テレワークを実施する企業は、従業員同士の円滑なコミュニケーションや十分な情報共有を実現するために、「Microsoft Teams」(以下、Teams)や「Zoom」、さらには「Slack」といったコラボレーションツールを導入する。しかしこうしたツールを利用しても、ツールの機能や技術的な要素、利用方法など幾つかの問題によってテレワークの業務がうまくいかず、業務生産性や効率が低下してしまうことがある。テレワーク時の生産性が下がる背景には何があるのか。

「駄目なテレワーク」の“5大要因”はこれだ

課題1.コミュニケーションのすれ違い

 テレワークにおけるコミュニケーションの課題の一つは、従業員同士が同じ空間にいないために、気軽に他のメンバーのデスクに立ち寄って質問したり、立ち話をしたりできないことだ。コミュニケーションの活性化を目的に、TeamsやZoom、Slackといったコラボレーションツールを導入するのが対策の一つになる。

 しかしメッセージやチャットといったテキストベースのコミュニケーションでは、表情や言外に込められた意味を読み取りづらい。Web会議を実施しても、対面で向き合って会話を交わす以上の効果を上げるのは難しい場合がある。

 コミュニケーションの溝を発生させないようにする鍵は、伝えたいメッセージに適したコミュニケーションツールを選ぶことだ。そのメッセージや議題が重要度の高い内容なのか、それともカジュアルな内容なのかを考慮する。検討する中で、「非公式な内容なのでチャットにする」「重要度が高い話し合いなのでビデオ通話にする」といった判断が可能だ。

課題2.技術的な不備

 テレワーク中に従業員が使用するネットワークやデバイスの以下のような不備が、コミュニケーションの妨げになる場合がある。

  • ネットワークの不備
    • 従業員のニーズに合ったコミュニケーションツールを用意しても、ネットワークに不備があれば優れた操作性を得ることは困難だ。IT部門は、従業員が自宅で使うネットワークに関与することはできない。しかしネットワークの帯域幅の拡張やリモートアクセスシステムの整備、SD-WAN(ソフトウェア定義WAN)の利用を通じて自社ネットワークを強化し、テレワーク中の従業員を支援することは可能だ。
  • 相互運用性の問題
    • 企業によっては、社内の相手とやりとりする場合と社外の相手とやりとりする場合で異なるコミュニケーションツールを利用することがある。連携に不備があると、従業員はさまざまなアプリケーションを手動で切り替えながらコミュニケーションを取らなければならない。複数のコミュニケーションツール同士を連携する相互運用サービスを利用することも一つの手だ。
  • ツールの無秩序な利用
    • 自社で利用中のコミュニケーションツールが多過ぎて従業員が混乱し、どの業務にどのツールを使うのが最適なのかが分からなくなる可能性がある。その結果、ツールの切り替えに時間がかかり、業務の生産性が低下する。ツールが無秩序に増えないように、ツールの使用状況を確認したり重複した機能を持つツールを取捨選択したりすることが必要だ。

課題3.質の低い会議

 オフィスでの対面コミュニケーションを再現するのがWeb会議だ。その品質が低ければ、コミュニケーションの質も下がる。Web会議の品質を下げる主な要因は以下の通り。

  • ネットワークの問題
    • 無線LANの電波が弱かったり、帯域幅が不足していたりする状態では、Web会議中に画面がフリーズしたり音声が途切れたりする可能性がある。
  • 音声とビデオの問題
    • 参加者の映り方が不鮮明だったり音声が明瞭でなかったりする場合、他の参加者は表情や会話の内容を理解しづらくなり、会議の一体感を得ることが難しくなる。音声が聞こえづらければ、会議を中断せざるを得なくなる。IT部門と従業員は、オフィスや自宅で使うネットワーク、カメラ、マイクの品質が業務に十分な水準に達しているかどうか確認することが必要だ。Web会議ツールのバックグラウンドノイズを抑制する機能を有効にすることも役立つ。
  • 会議の詳細が決まっていない
    • 会議のアジェンダや議論の進め方が決まっていない会議に出席すると、いつ終わるのか分からず混乱する場合がある。会議を準備する際にはアジェンダや議論の進め方を設定し、会議の進行役や責任者を定めれば、会議を予定通り進め、出席者の発言を促すことができる。

課題4.従業員や部門の分断

 従業員はオフィスから離れた場所で黙々と働く中で、同僚とのコミュニケーションを難しく感じたり疎外感を感じたりすることがある。親しくコミュニケーションを取ってきた同僚とはリモートワーク中に積極的にやりとりをできても、普段コミュニケーションを取ることが少ない同僚や部門間ではやりとりをしづらいと考えてしまう。

 積極的なコミュニケーションを生み出す方策の一つとして、アイスブレークを支援するアプリケーションを使ったり、Web会議の参加者を少人数のグループに分けるZoomの「ブレイクアウトルーム」機能を使ったりして従業員同士の仲間意識を育てることも一つの手だ。

 従業員間だけでなく、部門間のコミュニケーションをとりやすい雰囲気を醸成することも必要な取り組みだ。部門間でのコミュニケーションに関する成功事例を基に、コミュニケーションの機会を作ることが有効だ。

課題5.ツールを使うためのトレーニング不足

 IT部門がコミュニケーションツールを用意すれば、従業員は自分で使い方を学び積極的に利用するはずだ――こう考えるのはお勧めしない。適切なトレーニングの機会を提供することで、従業員はどのコミュニケーションツールが自分に合っているのか判断しやすくなり、そのツールが搭載する機能を網羅的に理解することができるようになる。ツールを使う適切なタイミングや場面についても理解が深まる。

 テレワーク中の従業員はさまざまな場所で勤務しており、働く時間帯も従業員によって異なる場合がある。ブレーンストーミングのようにリアルタイムにコミュニケーションを取った方がよい業務と、リアルタイムにコミュニケーションを取らなくても問題がない業務を区別して勤務モデルを組み立てると、コミュニケーションの課題を解決できる可能性がある。

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