テレワークではコラボレーションツールの活用が欠かせない。しかしコラボレーションツールを導入するだけではさまざまな問題が発生する可能性がある。その5大要因とは。
テレワークを実施する企業は、従業員同士の円滑なコミュニケーションや十分な情報共有を実現するために、「Microsoft Teams」(以下、Teams)や「Zoom」、さらには「Slack」といったコラボレーションツールを導入する。しかしこうしたツールを利用しても、ツールの機能や技術的な要素、利用方法など幾つかの問題によってテレワークの業務がうまくいかず、業務生産性や効率が低下してしまうことがある。テレワーク時の生産性が下がる背景には何があるのか。
テレワークにおけるコミュニケーションの課題の一つは、従業員同士が同じ空間にいないために、気軽に他のメンバーのデスクに立ち寄って質問したり、立ち話をしたりできないことだ。コミュニケーションの活性化を目的に、TeamsやZoom、Slackといったコラボレーションツールを導入するのが対策の一つになる。
しかしメッセージやチャットといったテキストベースのコミュニケーションでは、表情や言外に込められた意味を読み取りづらい。Web会議を実施しても、対面で向き合って会話を交わす以上の効果を上げるのは難しい場合がある。
コミュニケーションの溝を発生させないようにする鍵は、伝えたいメッセージに適したコミュニケーションツールを選ぶことだ。そのメッセージや議題が重要度の高い内容なのか、それともカジュアルな内容なのかを考慮する。検討する中で、「非公式な内容なのでチャットにする」「重要度が高い話し合いなのでビデオ通話にする」といった判断が可能だ。
テレワーク中に従業員が使用するネットワークやデバイスの以下のような不備が、コミュニケーションの妨げになる場合がある。
オフィスでの対面コミュニケーションを再現するのがWeb会議だ。その品質が低ければ、コミュニケーションの質も下がる。Web会議の品質を下げる主な要因は以下の通り。
従業員はオフィスから離れた場所で黙々と働く中で、同僚とのコミュニケーションを難しく感じたり疎外感を感じたりすることがある。親しくコミュニケーションを取ってきた同僚とはリモートワーク中に積極的にやりとりをできても、普段コミュニケーションを取ることが少ない同僚や部門間ではやりとりをしづらいと考えてしまう。
積極的なコミュニケーションを生み出す方策の一つとして、アイスブレークを支援するアプリケーションを使ったり、Web会議の参加者を少人数のグループに分けるZoomの「ブレイクアウトルーム」機能を使ったりして従業員同士の仲間意識を育てることも一つの手だ。
従業員間だけでなく、部門間のコミュニケーションをとりやすい雰囲気を醸成することも必要な取り組みだ。部門間でのコミュニケーションに関する成功事例を基に、コミュニケーションの機会を作ることが有効だ。
IT部門がコミュニケーションツールを用意すれば、従業員は自分で使い方を学び積極的に利用するはずだ――こう考えるのはお勧めしない。適切なトレーニングの機会を提供することで、従業員はどのコミュニケーションツールが自分に合っているのか判断しやすくなり、そのツールが搭載する機能を網羅的に理解することができるようになる。ツールを使う適切なタイミングや場面についても理解が深まる。
テレワーク中の従業員はさまざまな場所で勤務しており、働く時間帯も従業員によって異なる場合がある。ブレーンストーミングのようにリアルタイムにコミュニケーションを取った方がよい業務と、リアルタイムにコミュニケーションを取らなくても問題がない業務を区別して勤務モデルを組み立てると、コミュニケーションの課題を解決できる可能性がある。
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