物理PCから「仮想デスクトップ」に移行する“これだけの理由”仮想デスクトップの6つの利点【後編】

仮想デスクトップには、ノートPCやデスクトップPCでOSやアプリケーションを動かすのとは異なる利点が期待できる。4つの観点から、仮想デスクトップの利点を説明する。

2024年05月30日 07時30分 公開
[John PowersTechTarget]

 業務アプリケーションを利用する方法としては、ノートPCやデスクトップPC、モバイル端末にインストールされたアプリケーションを利用する方法に加え、「仮想デスクトップ」経由でアプリケーションを利用する方法が挙げられる。

 仮想デスクトップには、物理PCを利用するのと比較してどのような利点があるのか。仮想デスクトップに期待できる6つの利点のうち、本稿は4つを紹介する。

「仮想デスクトップ」に期待できる4つの利点とは

3.ハードウェアのコスト削減

 仮想デスクトップはデバイスのコスト削減につながる。仮想デスクトップに接続するデバイスには、通常の業務に必要なスペックのCPUやストレージ、OSが必ずしも必要ではない。仮想デスクトップの利用に特化した「シンクライアントデバイス」を利用すれば、クライアントデバイスにかかるコストを削減できる。シンクライアントデバイスは、サーバから転送された画面を操作するための必要最小限の機能を備えたデバイスを意味する。シンクライアントデバイスは、仮想デスクトップの用途を広げるために周辺機器を利用する場合がある。

 シンクライアントデバイスの構造は一般的なPCよりも単純なため、管理作業に多くの時間を費やす必要がない。こうした作業時間の短縮も、IT資産の総所有コスト(TCO)の削減に寄与する。

 デスクトップ仮想化はBYOD(私物端末の業務利用)にも役立つ。BYODもハードウェア関連のコスト削減の一つの方法だ。従業員が私物のノートPCを持参して使用できるならば、新たにPCを購入する必要がなくなる。

4.Webブラウザまたはデスクトップからアクセス可能

 仮想デスクトップがBYODに適している理由の一つは、シンクライアントだけでなく、既存のノートPCのOSで実行できることだ。仮想デスクトップはデバイス内のサンドボックス(隔離領域)で実行できるため、ノートPCに搭載されたOSのセキュリティ機能が仮想デスクトップのセッション(接続)を脅かすことはない。IT部門が適切な設定をすれば、BYODによる企業データの漏えいを防ぐことができる。

 従業員は仮想デスクトップを利用するために、メインのデバイスを常に使う必要はない。オフィスにいる間はシンクライアントデバイスを使い、テレワークの日には私物のノートPCのWebブラウザで安全に仮想デスクトップを実行するといった使い方ができる。従業員の業務内容によっては、機能追加のために周辺機器を接続する必要があるシンクライアントデバイスよりも、私物のノートPCを持ち運ぶ方が便利な場合がある。

 仮想デスクトップのエージェントをデバイスにインストールするか、安全に機能するWebブラウザを使えば、従業員は会社から支給されたPCが手元になくても、さまざまな方法で必要な業務アプリケーションを利用できる。

5.OS、アプリケーション、利用サービスの効率的な更新とバージョン管理が可能

 自社で稼働する全ての仮想デスクトップとアプリケーションを常に最新バージョンに保つことができれば、企業のセキュリティ体制が向上し、従業員の生産性が向上する。新しい更新プログラムを迅速に適用し、社内で利用するバージョンを統一することはIT部門の業務の一つだ。

 利用中の業務アプリケーションやOSに脆弱(ぜいじゃく)性が見つかり、ベンダーからパッチ(修正プログラム)が配布されたら、IT部門は全てのデバイスにできるだけ早く配布しなければならない。

 自社で使用しているのがデスクトップPCやノートPCの場合、IT部門は従業員に告知し、パッチを適用してデバイスを再起動してもらう必要がある。デスクトップ仮想化はこの負担をIT部門と従業員から取り除く。IT部門が従業員の勤務時間外に仮想デスクトップを更新してパッチを適用すれば、次に従業員が仮想デスクトップにログインしたときには、最新のOSやアプリケーションが利用できる。

6.障害発生時のバックアップやトラブルシューティングが容易

 IT部門は仮想デスクトップのデスクトップイメージを素早く複製し、再作成できる。迅速にデスクトップイメージのバックアップが可能なため、大規模な災害対策(DR)や技術的な問題によるシステム停止など、さまざまな状況でデータ復旧に役立つ。

 データセンターに障害が発生した場合でもIT部門が仮想デスクトップを迅速かつ確実に再配布できるよう、バックアップ用のデータセンターは本番用のデータセンターとは別の地域に配置する必要がある。DaaSを利用しているユーザー企業は、バックアップ手法をベンダーと協議する必要がある。

 オンプレミスインフラでVDI(仮想デスクトップインフラ)を実行している企業は、バックアップ用のデータセンターをどこに配置するかなどの課題を踏まえてバックアップ計画を立てる必要がある。

 仮想デスクトップは、小規模なトラブルも解決しやすい。ある従業員が、主要な業務用アプリケーションやローカルデバイスに搭載されたOSに問題を抱えている場面をイメージすると分かりやすい。問題が発生したのがデスクトップPCやノートPCの場合、従業員はIT部門に連絡を取り、直接デバイスのある場所に来てもらうか、あるいはリモートデスクトップを介して、トラブルを解決してもらうのを期待することになる。

 これがオフィスなら、IT部門がトラブルを解決する間、従業員に一時的に代わりのPCを支給できる。その従業員は、代替機で自分が利用する全てのアプリケーションにサインインし直す必要がある。業務に戻るための代替機の設定作業に、長時間を費やさなければならない。テレワークの場合、状況はさらに難しい。適切な代替デバイスがないなら、その従業員はその日一日まともに作業できなくなる可能性がある。

 仮想デスクトップを利用中の従業員であれば、デバイスに問題が発生しても別のデバイスから仮想デスクトップにアクセスし直すことで、迅速に業務に復帰できる。

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