TFTPはTCP/IPにおけるアプリケーション層で動作するファイル転送プロトコルだ。非常にシンプルな仕組みであり、FTPと使い分けることが望ましい。
ネットワークの主要プロトコル群に「TCP/IP」がある。「TCP」は伝送制御プロトコル、「IP」はインターネットプロトコルを指し、さまざまなネットワークにおいて、世界各国で標準的に利用されている。
実は、TCP/IPのアプリケーション層には、一般にあまり知られていない重要なプロトコルが幾つかある。その一つがファイル転送プロトコルの「TFTP」(Trivial File Transfer Protocol)だ。ファイル転送プロトコルにはFTPがあるが、TFTPとは何が違うのか。
TFTPとFTPの違いを理解するには、TCP/IPにおける位置と役割を知ることが重要だ。両プロトコルはアプリケーション層で動作するものの、異なるトランスポート層プロトコルを使用する。
FTPはTCPを使用する。TCPは信頼性が高く各パケット(伝送するデータを小分けにした単位)の送受信を確認する「ステートフル」なプロトコルだ。このため、管理の手間はかかるものの、送信データが正確に宛先に到達することを保証する。
一方で、TFTPは迅速なファイル転送を目的として「UDP」(User Datagram Protocol)を使用する。UDPはステートレス(過去のトランザクションに関する情報や参照を保存しない仕組み)で、トランスポート層ではパケットの損失を確認しない。ただしアプリケーションによっては、別の層でパケットの損失を確認することもある。
TFTPとFTPの違いの一つに、利用可能なコマンドの範囲がある。FTPはリモートサーバ上のファイルを操作する複数の機能があり、認証が必要だ。
対照的にTFTPはファイルのアップロード(put)とダウンロード(get)の基本的な機能のみを提供し、ファイルの存在確認や管理機能はなく、煩わしい認証手続きも不要だ。
TFTPは初期接続にUDP69番ポートを使用し、その後のデータ転送プロセスには他のポートを使用する。FTPはファイルの送受信にTCP20番ポートと、制御にTCP21番ポートを使用するのが一般的だ。
TFTPの利点は、シンプルさと使いやすさにある。ネットワークデバイスのバックアップや、クライアントデバイスへのブートファイル(起動に関連するファイル)のダウンロードに適している。認証が不要なデバイスやアプリケーションで動作し、データ保存容量や処理能力が限られているデバイスにも適している。
TFTPの典型的な使用例は以下の通り。
ただし、セキュリティや認証機能を欠くため、TFTPは組織のセキュリティ要件を満たさないことがある。
次回はTFTPを実際にインストールする手順やコマンドを解説する。
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