半導体ベンダーの競争は、「AI PC」だけではなくデータセンターの分野でも激化してくる可能性がある。IntelやAMD、NVIDIAなど半導体ベンダーのトップが「COMPUTEX TAIPEI 2024」で語った注力分野とは。
AI(人工知能)技術が台頭する中で、プロセッサベンダー各社の競争が激化してくると考えられる。半導体製品の進化は、AI(人工知能)処理専用のプロセッサを搭載するPCである「AI PC」向けだけではなく、データセンター分野でも熾烈(しれつ)だ。IntelやAdvanced Micro Devices(AMD)、NVIDIAといった半導体ベンダーのトップは、2024年6月に台湾で開催されたカンファレンス「COMPUTEX TAIPEI 2024」(以下、COMPUTEX)で登壇した。3社がこれからデータセンターで注力する取り組みとは何か。
AMDもIntelもNVIDIAも、COMPUTEXではAI PC向けの新製品を発表した。3社の注力分野は、PCの分野にとどまらない。AI技術が台頭する中で、それぞれ「データセンターの変革」というビジョンを思い描いているのだ。
NVIDIAは、GPU(グラフィックス処理装置)の新しいアーキテクチャ「Blackwell」を採用したGPUと、同社のCPU「NVIDIA Grace」やネットワーク製品を組み合わせたコンピューティングシステムを発表した。
Intelは、プロセッサシリーズ「Xeon」の新世代となる「Xeon 6」を発表した。Xeon 6は、2種類のCPUコアの設計を採用している。一つは、AIアプリケーション向けの処理性能を重視した「Performance-Core」(P-Core)。もう一つは電力効率をより重視した「Efficient-Core」(E-Core)だ。
AMDは、要件に応じて動的にリソースの割り当てを調整するアダプティブSoC(システムオンチップ)である「Versal AI Edge Series Gen 2」を発表した。同社の新しいAIアクセラレーター(AI処理を効率的に実行するためのハードウェア)「Instinct MI325X」は、2024年第4四半期(10~12月期)に提供が始まる見込みだ。AMDはそれに加えて、サーバプロセッサ「EPYC」シリーズの第5世代(開発コードネーム「Turin」)を予告した。同社はこれを2024年後半に市場に投入する計画だとみられる。
こうしてデータセンターにおけるプロセッサの選択肢が多様化してくる中で、ユーザー企業のIT購買における判断基準としては何が重要になるのか。その一つは、価格当たりの処理性能や、電力当たりの処理性能が重要になる可能性がある。というのも、プロセッサの処理能力が上がるのに応じて大きくなる課題があるからだ。「例えばハイエンドのGPUは稼働にすさまじい電力を必要とするので、確保できる電力とコストが活用に当たっての問題になる可能性がある」。コンサルティング会社J. Gold Associatesのアナリスト、ジャック・ゴールド氏はそう話す。
ゴールド氏は、推論のアプリケーションはAIアクセラレーターを備えた一般的なCPUでも適切に実行できると指摘する。AI処理の大部分が推論のアプリケーションになることを考えると、IntelとAMDが優位に立つ可能性は十分にあると同氏はみる。「これから2~3年でAIアプリケーションの市場が拡大するかどうかは、半導体ベンダー各社が投入するAIタスク向けの新製品にも左右される」と言える。
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