Intel、AMD、NVIDIAの半導体3社が描く「AI半導体の次なる戦場」とは?AMD、NVIDIA、Intelの攻防【後編】

半導体ベンダーの競争は、「AI PC」だけではなくデータセンターの分野でも激化してくる可能性がある。IntelやAMD、NVIDIAなど半導体ベンダーのトップが「COMPUTEX TAIPEI 2024」で語った注力分野とは。

2024年08月04日 09時00分 公開
[Bridget BotelhoTechTarget]

 AI(人工知能)技術が台頭する中で、プロセッサベンダー各社の競争が激化してくると考えられる。半導体製品の進化は、AI(人工知能)処理専用のプロセッサを搭載するPCである「AI PC」向けだけではなく、データセンター分野でも熾烈(しれつ)だ。IntelやAdvanced Micro Devices(AMD)、NVIDIAといった半導体ベンダーのトップは、2024年6月に台湾で開催されたカンファレンス「COMPUTEX TAIPEI 2024」(以下、COMPUTEX)で登壇した。3社がこれからデータセンターで注力する取り組みとは何か。

半導体3社が描く「AI半導体の次なる戦場」とは

 AMDもIntelもNVIDIAも、COMPUTEXではAI PC向けの新製品を発表した。3社の注力分野は、PCの分野にとどまらない。AI技術が台頭する中で、それぞれ「データセンターの変革」というビジョンを思い描いているのだ。

 NVIDIAは、GPU(グラフィックス処理装置)の新しいアーキテクチャ「Blackwell」を採用したGPUと、同社のCPU「NVIDIA Grace」やネットワーク製品を組み合わせたコンピューティングシステムを発表した。

 Intelは、プロセッサシリーズ「Xeon」の新世代となる「Xeon 6」を発表した。Xeon 6は、2種類のCPUコアの設計を採用している。一つは、AIアプリケーション向けの処理性能を重視した「Performance-Core」(P-Core)。もう一つは電力効率をより重視した「Efficient-Core」(E-Core)だ。

 AMDは、要件に応じて動的にリソースの割り当てを調整するアダプティブSoC(システムオンチップ)である「Versal AI Edge Series Gen 2」を発表した。同社の新しいAIアクセラレーター(AI処理を効率的に実行するためのハードウェア)「Instinct MI325X」は、2024年第4四半期(10~12月期)に提供が始まる見込みだ。AMDはそれに加えて、サーバプロセッサ「EPYC」シリーズの第5世代(開発コードネーム「Turin」)を予告した。同社はこれを2024年後半に市場に投入する計画だとみられる。

 こうしてデータセンターにおけるプロセッサの選択肢が多様化してくる中で、ユーザー企業のIT購買における判断基準としては何が重要になるのか。その一つは、価格当たりの処理性能や、電力当たりの処理性能が重要になる可能性がある。というのも、プロセッサの処理能力が上がるのに応じて大きくなる課題があるからだ。「例えばハイエンドのGPUは稼働にすさまじい電力を必要とするので、確保できる電力とコストが活用に当たっての問題になる可能性がある」。コンサルティング会社J. Gold Associatesのアナリスト、ジャック・ゴールド氏はそう話す。

 ゴールド氏は、推論のアプリケーションはAIアクセラレーターを備えた一般的なCPUでも適切に実行できると指摘する。AI処理の大部分が推論のアプリケーションになることを考えると、IntelとAMDが優位に立つ可能性は十分にあると同氏はみる。「これから2~3年でAIアプリケーションの市場が拡大するかどうかは、半導体ベンダー各社が投入するAIタスク向けの新製品にも左右される」と言える。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€驛「譎擾スク蜴・�。驛「�ァ�ス�、驛「譎冗樟�ス�ス驛「譎「�ス�シ驛「譏懶スサ�」�ス�ス

市場調査・トレンド SUSE ソフトウエア ソリューションズ ジャパン株式会社

ベンダー依存から脱却、柔軟かつ統合的なLinux環境を構築する方法とは?

エンタープライズ向け技術は、Linuxを中核に据え、オープンソースで動作しているものが多い。しかし近年、一部のベンダーが契約による囲い込みを強めており、ベンダーロックインのリスクが高まっている。安定したLinux運用を実現するには?

製品資料 株式会社野村総合研究所

運用効率化に欠かせないITSMツール、ノンカスタマイズが正解とは限らない?

ITサービスへの要求は年々増大しており、その対応を手作業でカバーするには限界がある。そこで導入されるのがITSMツールだが、特に自動化機能には注意が必要だ。自社に適した運用自動化や作業効率化を実現できるのか、しっかり吟味したい。

製品レビュー 株式会社クレオ

現場でカスタマイズ可能なITシステム、コストと時間をかけずに実現する方法とは

業務効率を高めて生産性を向上させるために、多くの企業がITシステムの導入を進めている。しかし、自社の業務に合わないITシステムを導入してしまっては、逆に生産性が低下する可能性も高い。この問題をどう解決すればよいのだろうか。

製品レビュー グーグル合同会社

重要なエンドポイントを守る、Chromeブラウザを企業向けに安全性を強化する方法

世界中で広く利用されているChromeブラウザは、業務における重要なエンドポイントとなっているため、強固なセキュリティが必要となる。そこでChromeブラウザを起点に、企業が安全にWebへのアクセスポイントを確立する方法を紹介する。

製品資料 グーグル合同会社

Chromeの拡張機能:企業における今求められる管理戦略とは

Google Chromeの拡張機能は生産性の向上に不可欠な機能であり、ユーザーが独自にインストールできる一方、IT管理者を悩ませている。ユーザーデータを保護するためにも、効率的な運用・監視が求められるが、どのように実現すればよいのか。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/05/11 UPDATE

Intel、AMD、NVIDIAの半導体3社が描く「AI半導体の次なる戦場」とは?:AMD、NVIDIA、Intelの攻防【後編】 - TechTargetジャパン システム運用管理 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。