NVIDIAは2024年に、時価総額が米国第1位の企業となった。なぜ同社は大きく成長したのか。主な理由を4つ説明する。
GPU(グラフィックス処理装置)などの半導体製品を手掛けるNVIDIAは、2024年6月18日(現地時間、以下同じ)に時価総額が3兆3350億ドルに達し、その時点ではMicrosoftを抜いて時価総額で世界最大の企業になった。テキストや画像のデータを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」の台頭は、NVIDIAの株価が上昇した主な要因の一つだが、理由は他にもある。近年になってNVIDIAの株価が上昇してきた4つの理由を説明する。
NVIDIAのGPUは、スーパーコンピュータなどHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)の用途で採用されている。こうした用途では大量のデータを処理する必要があり、複数の計算を同時に実行する並列処理において高い性能が必要とされる。HPCは、大規模なAIモデルのトレーニングや、自動運転技術の開発などに利用されている。
生成AIの需要が衰える兆しはない。NVIDIAのGPUは生成AIアプリケーションの開発や実行のためのインフラとして利用されている。通信社Bloombergの調査部門Bloomberg Intelligenceによると、生成AI市場は今後10年間、市場規模が毎年42%のペースで成長する見込みだ。生成AI製品の需要により、2032年までに全世界の生成AI市場は1兆3000億ドル規模に達する可能性がある。
OpenAIの生成AIサービス「ChatGPT」は、AIモデルの学習に「NVIDIA A100 Tensor Core GPU」を使っている。OpenAIをはじめとしたAIベンダーの大規模言語モデル(LLM)は、大量のデータを使用したトレーニングによって進化を続けている。そうしたAIモデルをさらに多くのデータでより高速にトレーニングするために、GPUの需要はこれからも高まると考えられる。
NVIDIAは仮想空間「メタバース」の構築ツール群である「NVIDIA Omniverse」を提供している。NVIDIAは同サービスの中で、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などのXR(Extended Reality)アプリケーションの効率的な画像処理に役立つ3D(3次元)モデリングツールを用意している。こうしたメタバース技術が進化するにつれて、メタバースアプリケーションを実行するためのNVIDIA製GPUの需要が高まっている。
ゲーム業界の企業も、NVIDIAにとっての重要な顧客となる。ビデオゲームの解像度は向上し続けている。ゲーム開発会社は、高解像度の画像を処理するために、より高性能なGPUを必要とし続けている。「GeForce RTX 4070」といったNVIDIAのゲーム向けGPUは、ビデオゲームの解像度や処理速度の向上に貢献している。
NVIDIAは、仮想通貨(暗号資産)の世界でも大きな役割を果たしている。仮想通貨のマイニング(採掘)には、コンピュータの高い演算能力が必要だ。仮想通貨の普及は、NVIDIAのGPUに対する需要を高めた。
後編は、NVIDIAの将来に影響を与える可能性のある課題を掘り下げる。
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