Google Cloudの調査レポートによると、英国公共部門が生成AIツールを活用すると年間380億ポンドのコスト削減が可能という。ただし、生成AIツールを活用するまでには越えなければならない壁がある。
テキストや画像を自動生成する人工知能(AI)技術「生成AI」を公共部門で活用すると、公共サービスの提供を効率化できるだけではなく、コストを削減できる可能性がある。Google Cloudが公開した調査レポートは、英国の公共部門が生成AIを活用すれば、2030年までに年間380億ポンド(約7兆3000億円)のコスト削減が可能だと結論付けた。生成AIツールを使うと具体的に何ができるのか。
調査は、 Google Cloudが政策コンサルタントPublic Firstに委託し、2024年10月に実施した。生成AIツールの活用によって公共部門の業務がどのように変わるか、英国の公共部門の労働者415人に尋ねた。
Public Firstのパートナー、ジョナサン・デュポン氏によると、書類の作成やデータ入力、会議の調整といった定型的な事務作業を生成AIツールで自動化できるようになると、次のような効果を得られる可能性がある。
回答者の声は、生成AIツールが近い将来、事務作業の処理方法に変革をもたらすだけではなく、公共部門の業務プロセスを効率化する可能性があることを示唆している。
回答者からは、価値がある生成AIツールの活用として、書類の作成(81%)、基本的なデータ分析(79%)、議事録や会議メモの作成支援(75%)が挙がった。
一方で、生成AIツールは公共部門の労働力を代替するものではなく、あくまでも補完的な存在であると回答者の56%が答えた。限られた労働力や時間、予算の中で業務を処理するための手段と見なしているためだ。
実際、どの程度の労働者が生成AIツールを業務に活用しているのか。「生成AIツールを大規模に業務に導入している」と答えた回答者は12%にとどまった。47%は「クラウドサービスやソーシャルメディアよりも生成AIツールを導入する方が時間がかかる」と答えた。AI活用が進まない理由としては「セキュリティ面での不安」「法的要件」「生成AIツールを使いこなすスキルの不足」「生成AIツールへの信頼性の欠如」が挙がった。
調査によれば、生成AIツールを活用するための適切なスキルを持っていると答えた回答者は34%にすぎなかった。加えて、55%は「生成AIツールを十分に活用できるようにするためには、構造化されたデータセットにアクセスできることが必要だ」と答えた。
「生成AIツールが効果を発揮するためには、既存のデータセットを安全かつプライバシーを保護した状態で相互にリンクできる状態にすることが必要だ」。報告書はこのように指摘する。そのためには政府主導の取り組みと規制が必要だという。
英国科学・イノベーション・技術省(DSIT)大臣のピーター・カイル氏は調査結果を「生成AIツールが公共部門の業務に革命的な影響を及ぼす証拠だ」と評した。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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