AI技術を活用して顧客体験をパーソナライズすると、企業の収益は増えるのか。AI技術を積極的に導入する企業とそうではない企業の差を、Zendeskが調査した。その結果を紹介する。
人工知能(AI)技術をベースにした仮想アシスタントやチャットbotを導入して顧客体験(CX)をパーソナライズすると、企業の収益は本当に増加するのか――CRM(顧客関係管理)ツールを提供するZendeskは、この疑問に答える調査結果を発表した。
Zendeskは2024年11月、AIツールを使ったCXのパーソナライズ化を調査した年次レポート「CX Trends 2025」を公開した。調査は、22カ国の消費者5082人と5504人のビジネスパーソン(カスタマーサービスや技術購買に関わる従業員など)を対象に2024年6〜7月に実施した。
調査は、今後のカスタマーサービスを決定付ける5つのトレンドを明らかにした。
レポートでは、ビジネスパーソンの回答者を「トレンドセッター」と「トラディショナリスト」に分類。両者の格差が拡大していることを浮き彫りにした。
レポートによると、トレンドセッターはトラディショナリストよりも顧客獲得率が33ポイント高く、顧客維持率も22ポイント高かった。クロスセル(関連商品の売り込み)では49%高い収益を獲得している。こうした結果は、AI技術の慎重かつ戦略的な導入が、消費者の記憶に残る顧客体験を創出するだけでなく、収益向上にも寄与することを示している。トレンドセッターの90%はROI(投資対効果)が良好だと回答している。
一方、業界によっては、IT部門が承認していないAIツールを従業員が勝手に使う「シャドーAI」が2023年と比べて250%増加したことも明らかになった。シャドーAIは、個人情報の漏えいやセキュリティインシデントにつながる恐れがある。
トレンドセッターはAIツールにどのような期待を持っているのか。調査によると、90%のトレンドセッターは「今後2〜3年以内に、顧客とのやりとりの80%をAIツールが自動で解決する」と予測している。
調査結果からは、エンドユーザーが業務の効率化だけではなく人間らしいコミュニケーションまでもAIツールに求めていることが分かる。消費者の64%は「親しみやすく共感できる特性を備えたAIエージェントをより信頼する」と答えた。
この「人間らしいAI」が、顧客満足度とロイヤリティーの向上をもたらすという報告もある。半数の消費者が音声AIを利用し、自然な対話が可能な技術への期待が高まっている。英国ではトレンドセッターの90%が「音声を中心とした顧客サービスの新時代が到来した」と予感している。
「AIは単なる技術にとどまらない。企業とを近付ける手段であり、両者の関係を再構築するためにある」。ZendeskのCEO、トム・エッゲマイヤー氏はこのように述べる。AIツールは、企業が消費者ごとのニーズや興味を理解し、良好な関係を築くための役割を担っていくという。
「AIが人間味を持つコミュニケーションを取れるようにすることが、業務の円滑化だけではなく、消費者からの信頼を得ることにつながり、企業と消費者の持続的な関係を生み出すことにもなる」(エッゲマイヤー氏)
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