部品表に部品以外のさまざまなデータを統合するためには、旧来の部品表で採用していたデータモデルでは限界がある。これを突破するためには、「多項モデル」という新たなデータモデルを導入する必要がある。
これまで部品表は約半世紀もの間、親と子の関係(リレーション)を管理するストラクチャー型(ツリー型)のデータベースとして運用されてきた。1つのデータベースに1種類のリレーションしか管理できないモデルの部品表で、「2項モデル」と呼ばれるものだ。
このモデルには、限界がある。本連載でこれまで見てきたように、統合化部品表では部品以外にもさまざまなデータ要素(物流ルート、コンフィギュレーション、工程手順、需給ルートなど)を含むようになるので、管理すべきリレーションモデルも複雑化してくる。単純な2項モデルでは、これらを管理できないのだ。
そこで考え出されたのが、1つの部品表データベースに何種類ものリレーションを同時に持つ「多項モデル」と呼ばれる部品表である。
統合化部品表に製造業で扱うさまざまな情報が集約されていくと、より複雑なモデルを扱う必要が出てきた。例えば、下図のようなケースだ(図1)。
工場におけるアセンブリ(組み立て)で使用する本来の部品表は左のような構成をしているが、製品のオプションの組み合わせに関する情報をこの部品表に付与しようとすると、左側の構成とはまったく異なる右側のような構成が必要となる。これは「コンフィギュレーション」といって、営業が顧客との商談の際に製品オプションを選択するために使われる構成である。
見ての通り、左右のデータ構成はまったく異なるため、従来の部品表では共存できなかった。しかし、多項モデルを使うと複数のリレーションを持つことができるので、この問題を解決することができる。また、前回「工程データ・物流ルートをも統合する新世代の部品表」で説明した物流ルートのようなデータも、多項モデルを駆使しないと表現することができない。
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