プレゼンスとチャットは以前からあるツールであり、これまで電話とは別のコミュニケーションシステムとして扱われてきた。だがこれらをIP電話機と連動させれば、さらなる機能の拡張が可能となる。
IP電話の活用を紹介する本連載。今回はIP電話を活用の幅を広げる、Web電話帳、ビデオ会議システムに続く第3のコミュニケーションシステムを取り上げる。
チャットシステム(またはインスタントメッセンジャー)は、メールと電話のコミュニケーションのすき間を埋めるリアルタイム性のあるツールとして有効である。また、プレゼンス情報の管理・活用も、コミュニケーションロスを減らす手段として同様に有効だ。コンシューマー向けと違い、ビジネス向けのチャットシステムでは、Microsoft Office Outlookとの連動や予定表システムとの連動、管理者からのチャットログの取得などの機能が必要となる。
プレゼンスは「在席情報」と訳される場合があるように、ユーザー自身の状態を示している。あるユーザーとコミュニケーションを取りたい場合は、プレゼンスの状態を見てチャット、電話、メールから最適な手法を選択できる。この在席情報は手動でも変更できるのだが、実態として手動で変更するユーザーはほとんどおらず、予定表やPCのロック状態から自動的に在席状態を設定するのが一般的だ。
そこに、IP電話システムと連動する仕組みを作ると、電話中の状態を自身のプレゼンス情報に追加したり、相手のプレゼンスを見てワンクリックで通話を開始したり、三者通話をすることが可能となる。また、チャットの履歴に加えて、電話機での発着信履歴も扱えるようになるため、PC上でメール、チャット、電話履歴の管理が実現する。
IP電話機だけでなく、留守番電話システム、Web会議システムとプレゼンス/チャットを連動させると、さらなるメリットを享受できる。具体的には、通話中にWeb会議を起動したり、着信履歴から留守番電話の確認をしたりといった点だ。
このように、IP電話とプレゼンス/チャットを連動させることで社員の業務効率が向上する。ただ、導入に先立つ費用対効果算出の面では、出張費削減効果から簡単に費用算出できるビデオ会議/Web会議システムと比べると、コストメリットが見えにくいという問題もある。そこで、プレゼンス/チャットを導入して短縮される時間を積み重ねていき、その人件費を計算すると、導入の費用対効果を算出できる。
このプレゼンス/チャット製品においてもクラウドの波は来ており、ベンダーはSaaS(Software as a Service)型での提供を開始している。SaaS型の場合は少人数から簡単に導入でき、モバイル端末への対応や一般コンシューマーが使用しているチャットツールとの相互接続も容易にできる。もちろんビジネス用なので、管理者のインタフェースやチャットログの取得機能も備える。このSaaS型でも、IP電話システムとの連動が可能だ。
プレゼンス/チャット製品にはSaaS型と内部型の製品がある。各社共に以前からある機能に加えて、電話部分の機能強化、そして前述のようにSaaSへの対応を進めている。
提供ベンダー | 製品(サービス名) | 形態 | 製品イメージ |
---|---|---|---|
日本アイ・ビー・エム | IBM Lotus Sametime | 内部型 | ![]() 《クリックで拡大》 |
IBM LotusLive | SaaS型 | ![]() 《クリックで拡大》 |
|
シスコシステムズ | Cisco Unified Personal Communicator | 内部型 | ![]() 《クリックで拡大》 |
Cisco WebEx Connect(国内発売予定) | SaaS型 | ![]() 《クリックで拡大》 |
|
マイクロソフト | Microsoft Office Communicator | 内部型 | ![]() 《クリックで拡大》 |
Microsoft Online Services | SaaS型 | ![]() 《クリックで拡大》 |
|
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ビジネスにおけるさまざまなシーンで活用されている「PDF」。昨今、業務効率化や生産性向上、コスト削減を図るべく、PDF運用を見直す機運が高まっている。この実践を支えるソリューションの機能や特徴、活用方法を紹介する。
業務マニュアルは使われて初めてその効果を発揮するが、そもそも見られていないことから、業務課題を一向に解決できないという企業は多い。“活用されるマニュアル”を作成・共有するには、どんなポイントを押さえるべきか。
マニュアル作成において、90%以上の組織がビジネスソフトを利用しているが、それでは活用されるマニュアルへのハードルは高い。きちんと現場に使われるマニュアルにするために、ノウハウを把握しておきたい。
製造業では、不適合品を極力減らすカイゼンの取り組みが重要だ。ある調査によると、不適合品発生の原因の多くは「人」と「方法」に関連しているという。企業の対応策で一般的なのはマニュアルの運用だが、ここには落とし穴がある。
あらゆる業界でDXの取り組みが加速する一方で、成功を実感している企業は1割にも満たないという。最大の障壁となる「移行コスト」を解消し、新規ツールを「誰にでも使える」状態にするための方法を探る。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。