CRM、プレゼンス――IP電話を生かす意外なツールたち通話だけじゃない! IP電話による業務コミュニケーション活性化【最終回】

プレゼンスとチャットは以前からあるツールであり、これまで電話とは別のコミュニケーションシステムとして扱われてきた。だがこれらをIP電話機と連動させれば、さらなる機能の拡張が可能となる。

2010年07月08日 08時00分 公開
[荒牧大樹,ネットワンシステムズ]

 IP電話の活用を紹介する本連載。今回はIP電話を活用の幅を広げる、Web電話帳、ビデオ会議システムに続く第3のコミュニケーションシステムを取り上げる。

 チャットシステム(またはインスタントメッセンジャー)は、メールと電話のコミュニケーションのすき間を埋めるリアルタイム性のあるツールとして有効である。また、プレゼンス情報の管理・活用も、コミュニケーションロスを減らす手段として同様に有効だ。コンシューマー向けと違い、ビジネス向けのチャットシステムでは、Microsoft Office Outlookとの連動や予定表システムとの連動、管理者からのチャットログの取得などの機能が必要となる。

 プレゼンスは「在席情報」と訳される場合があるように、ユーザー自身の状態を示している。あるユーザーとコミュニケーションを取りたい場合は、プレゼンスの状態を見てチャット、電話、メールから最適な手法を選択できる。この在席情報は手動でも変更できるのだが、実態として手動で変更するユーザーはほとんどおらず、予定表やPCのロック状態から自動的に在席状態を設定するのが一般的だ。

 そこに、IP電話システムと連動する仕組みを作ると、電話中の状態を自身のプレゼンス情報に追加したり、相手のプレゼンスを見てワンクリックで通話を開始したり、三者通話をすることが可能となる。また、チャットの履歴に加えて、電話機での発着信履歴も扱えるようになるため、PC上でメール、チャット、電話履歴の管理が実現する。

 IP電話機だけでなく、留守番電話システム、Web会議システムとプレゼンス/チャットを連動させると、さらなるメリットを享受できる。具体的には、通話中にWeb会議を起動したり、着信履歴から留守番電話の確認をしたりといった点だ。

画像 システム連動で強力なユニファイドコミュニケーションツールとなるプレゼンス/チャット

 このように、IP電話とプレゼンス/チャットを連動させることで社員の業務効率が向上する。ただ、導入に先立つ費用対効果算出の面では、出張費削減効果から簡単に費用算出できるビデオ会議/Web会議システムと比べると、コストメリットが見えにくいという問題もある。そこで、プレゼンス/チャットを導入して短縮される時間を積み重ねていき、その人件費を計算すると、導入の費用対効果を算出できる。

 このプレゼンス/チャット製品においてもクラウドの波は来ており、ベンダーはSaaS(Software as a Service)型での提供を開始している。SaaS型の場合は少人数から簡単に導入でき、モバイル端末への対応や一般コンシューマーが使用しているチャットツールとの相互接続も容易にできる。もちろんビジネス用なので、管理者のインタフェースやチャットログの取得機能も備える。このSaaS型でも、IP電話システムとの連動が可能だ。

プレゼンスもSaaS化が進む

 プレゼンス/チャット製品にはSaaS型と内部型の製品がある。各社共に以前からある機能に加えて、電話部分の機能強化、そして前述のようにSaaSへの対応を進めている。

主なプレゼンス/チャット製品
提供ベンダー 製品(サービス名) 形態 製品イメージ
日本アイ・ビー・エム IBM Lotus Sametime 内部型 Lotus Sametime
《クリックで拡大》
IBM LotusLive SaaS型 LotusLive
《クリックで拡大》
シスコシステムズ Cisco Unified Personal Communicator 内部型 Unified Personal Communicator
《クリックで拡大》
Cisco WebEx Connect(国内発売予定) SaaS型 WebEx Connect
《クリックで拡大》
マイクロソフト Microsoft Office Communicator 内部型 Office Communicator
《クリックで拡大》
Microsoft Online Services SaaS型 Microsoft Online Services
《クリックで拡大》

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news132.jpg

ハロウィーンの口コミ数はエイプリルフールやバレンタインを超える マーケ視点で押さえておくべきことは?
ホットリンクは、SNSの投稿データから、ハロウィーンに関する口コミを調査した。

news103.jpg

なぜ料理の失敗写真がパッケージに? クノールが展開する「ジレニアル世代」向けキャンペーンの真意
調味料ブランドのKnorr(クノール)は季節限定のホリデーマーケティングキャンペーン「#E...

news160.jpg

業界トップランナーが語る「イベントDX」 リアルもオンラインも、もっと変われる
コロナ禍を経て、イベントの在り方は大きく変わった。データを駆使してイベントの体験価...