想定を超えた物流機能への被害、浮き彫りになった自社対応の限界再考:流通業のBCP【第2回】

第1回に引き続き、玉生氏への取材を基に東日本大震災による流通業の被害をまとめる。流通業の物流システムへのBCP意識は高かったが、甚大な被害に遭ってしまった理由は何か。

2011年04月25日 09時00分 公開
[岡崎勝己]

 前回記事「震災前のアンケートに見る流通業のBCP意識」では、東日本大震災前の流通業企業へのアンケート結果を基に、流通業の事業継続計画(BCP)意識をまとめた。本稿では引き続きプラネット 代表取締役社長 玉生弘昌氏のコメントを交えつつ、比較的BCP意識の高い流通業にとっても想定外の被害となった物流機能への影響をまとめる。

物流機能への影響は想定を超えた

 流通業界にとって商品の出荷から消費者に届けるまでの任を負う物流機能は、業務上、極めて重要な存在に位置付けられる。だが、震災は多くの企業の物流機能に少なからず打撃を与えた。事実、2011年3月23日付の「石鹸日用品新報」(※)によると、花王やライオン、資生堂などのメーカー各社では、一部工場の操業停止などの被害を受けている。また、卸売業者の物流センターにおける被害も甚大で、稼働不能なセンターも一部では見られた。さらに、小売業においても店舗の損傷やライフラインの停止、福島第一原子力発電所事故に伴う周辺住民の避難指示などにより、営業停止となる店舗も発生した。

※せっけん、洗剤、日用品、コスメタリーなどの商品、メーカー、卸・小売流通、市場全般に関する情報を掲載する業界専門紙(石鹸新報社発行、週刊)。発行部数は約1万2000部。

 「大規模な物流センターでは物流効率を高めるため、入出庫作業を自動化した自動倉庫がよく用いられている。それらの多くは地震による庫内の崩れによって使えなくなる事態に陥った。また、当社が出資しているプラネット物流の倉庫でも、積荷が崩れ、商品のキズの確認や積み直しなどの作業が発生した」と玉生氏は今回の物流関連の被害を振り返る。

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