BIツールの刷新を決めた米小売業のThe Paradies Shops。「これまで何時間もかかっていた処理が数秒に短縮される」と同社CIOが断言するBIツールの選定理由とは。
前編「米小売業が10年利用したBIの刷新を決断したわけ」で紹介したThe Paradies Shops(以下、Paradies)だけが、負荷の高いビジネスインテリジェンス(BI)製品に変わるツールを求めているわけではない。米調査会社Gartnerが2011年に発表した「Magic Quadrant for Business Intelligence Platforms」(BIプラットフォームに関する調査)によると、2010年のBIプラットフォーム市場では、柔軟性と直感的な操作を売り物にするツールと、標準と見なされる管理機能に定評があるツールの間での綱引きが見られた。
同資料によると、「このリポートのために実施した調査で、初めて“使いやすさ”が“機能性”をしのぎ、BIプラットフォームの最大の購買基準になった。主張が強くて注文が厳しく、影響力の強い業務部門が、ますます購入の判断を左右するようになっていて、IT部門の同意のあるなしにかかわらず、従来のBIプラットフォームよりも使いやすいデータ発見ツールが選ばれるケースが最も多い」という。
しかし、Paradiesのトニー・ドゥデクCIOは、「データ発見ツールを実装すれば、データ探索はすぐに実行できるが、データの収集やメタデータの作成はできない」と指摘する。
Paradiesにはどちらの機能も必要だという。収集するデータ量が増えれば、さらに情報を管理するための属性も必要になる。必要な属性を用意することで、ビジネスの規模や内容が拡大しても、適切にデータを分析し、一貫性を保つことができる。また、メタデータを作成することは、現在のように複数のExcelスプレッドシートを使って個別に行われている計算の整合性を高めることにもなる。
しかし、データストアから直接目的のデータを引き出すためには、データ発見ツールも必要だ。Paradiesの場合、ビジネスの分析に適した形でデータが集約されていないため、それが思うようにできずにいた。
Paradiesでは従来型のBIベンダーも検討した結果、米Information Buildersが提供するWebFOCUSプラットフォーム(関連記事:「WebFOCUS」が目指す理想のBI「カスタマーダイレクトBI」とは)が候補に挙がっている。「WebFOCUSは動作も十分に速く、スピーディな市場波及効果が期待できる上、他の要件にもかなう」とドゥデク氏は話す。
WebFOCUSを導入すれば、BIをクラウドで運用し、Webベースのインタフェースを使って、ドゥデク氏が言うところの“例外ベースのダッシュボード”にアクセスできる。このダッシュボードは、KPI(重要業績評価指標)を基に作成され、データ内の異状や変化をピンポイントで検出できる。
「例外ベースのダッシュボードを作成できると、各部門は後手に回るのではなく、先手を打てるようになる」(ドゥデク氏)
また、モバイル端末からデータやダッシュボードにもアクセスできるようになり、同じ空港の複数のコンコースに分散しているParadiesのショップを統括する責任者にとって非常に便利だ。
Paradiesは、まだWebFOCUSを導入していないが、2012年3月か4月に、運用環境への計画的なロールアウトを開始したいと考えているという。いずれにせよ、変化は到来している。「まだ導入もしていない段階だが、これまで何時間もかかっていた処理が数秒に短縮されると断言できる」とドゥデク氏は話す。
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