研究段階のOpenFlow拡張技術「FlowVisor」の企業利用が進むのは先の話だ。ただし、FlowVisorの機能が企業にもたらすインパクトは大きいはずだと専門家は指摘する。
前編「YouTubeによるLAN混雑も回避? 『FlowVisor』の効果と課題」では、OpenFlowコントローラーとOpenFlowスイッチとの間のプロキシとして機能し、複数のネットワークスライスを構築可能にする「FlowVisor」の仕組みと現状の課題を解説した。後編では、FlowVisorの想定利用形態やリスク、今後の方向性について解説する。
FlowVisorは、Software Defined Network(SDN)に関する新しいアイデアやツールの大規模実験を迅速かつ柔軟にする技術として開発されたものだ(SDNの概念については「【技術解説】OpenFlow/SDNの自在な経路制御を実現する技術」を参照)。FlowVisorは、全米各地の本番環境(特にスタンフォード大学などの大規模な大学キャンパス)で導入が進められてきた。また、大規模な研究用ネットワークである「Global Environment for Network Innovations(GENI)」や「Internet2」でもFlowVisorが導入されている。
だがこれは、一般企業のLANにFlowVisorがすぐさま普及することを意味するわけではない。スタンフォード大学の博士研究員であり、FlowVisorの開発に携わるアリ・アルシャビビ氏によると、FlowVisorは現時点では非常に安定しているが、先はまだ長いという。
「FlowVisorをエンタープライズ品質にするまでには、まだたくさんの課題が残されている」とアルシャビビ氏は語る。第一に、ユーザーにとっての使い勝手を改善する必要があるという。例えば、FlowVisorには今のところ、コマンドラインインタフェースやWebベースの管理機能がないため、ユーザーが設定を変更するにはコンフィギュレーションファイルを操作しなくてはならない。
スタンフォード大学で3年間にわたってFlowVisorの開発を指揮した後、OpenFlowを手掛ける新興企業の米Big Switch Networksに入社したロブ・シャーウッド氏によると、FlowVisorの価値があるのは実験用ネットワークだけではない(Big Switch NetworksのOpenFlowへの取り組みについては「OpenFlowを対応機器なしで導入できる『オーバーレイ』」を参照)。
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