スマートフォン/タブレットの普及が市場拡大の原動力に。王者シスコシステムズのシェアを専業ベンダーが浸食――。国内無線LAN市場の現状について、ITR甲元氏に聞いた。
無線LAN市場の拡大が止まらない。「スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスの急速な普及が、無線LAN市場拡大の原動力となっている」。ネットワーク市場に詳しい、アイ・ティ・アール(以下、ITR)のシニア・アナリスト甲元宏明氏はこう明かす。スマートデバイスのトラフィック増に悩む携帯電話事業者、スマートデバイスの企業導入に伴うインフラ整備を急ぐ企業が、無線LANの大量導入に動いていることが要因だという(参考:スマートフォンの通信障害でも回線を止めない「無線LAN」の活用法)。
無線LAN製品の大量導入においては、機器の導入や管理負荷が課題となる。シェア争いに目を向けると、運用管理機能の強化にいち早く着手したベンダーが強い支持を集める傾向が見て取れる。本稿は、ITRの市場調査結果と甲元氏の話を基に、無線LAN製品の市場動向をまとめた。
国内の企業向け無線LANの市場規模は、出荷金額ベースの実績値で2011年度に142億円と、2010年度の97億円から46.4%増の急拡大を遂げた(表)。ITRは、企業向け無線LAN市場の拡大傾向はしばらく続くと考えており、2012年度には182億円、2016年度には295億円に達すると予測する。企業向け無線LAN市場の2011年度から2016年度の年平均成長率(CAGR)は15.7%と、ネットワーク製品全体の平均である8.5%を大幅に上回る勢いだ。
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