ネットワーク電力管理技術は、十分に普及しているとはいえない状況だ。インフラの管理と電気料金の支払いが別部門など、企業の組織構成が一因だと指摘する声がある。
前編「クラウドが普及を後押し? 『ネットワーク電力管理』最新動向」では、ITを利用したネットワークベースの電力管理技術の最新動向を紹介した。後編は、ネットワーク電力管理の導入事例を紹介しつつ、特に米国企業でIT電力管理技術の採用が進まない背景について、組織や文化といった側面から分析する。
米Cisco Systemsが、同社製スイッチの購入者向けにエネルギー管理製品を無償提供する「Cisco EnergyWise Fast-Start」プログラムを発表した背景には、ネットワークベースのIT電力管理技術の採用が、世界の多くの地域、とりわけ米国において進んでいないという事情がある。世界の一部の地域では、IT部門は電力使用量の削減を厳しく求められているが、米国ではそうした圧力を免れている組織が大半だ。
エージェントレスのエネルギー管理製品を手掛ける米JouleXのヌーナン氏は、次のように語る。「ヨーロッパでは、既に誰かが電力管理のための予算を立てており、われわれはRFP(提案依頼書)に応える立場にある。とにかく重要なのはコストの削減だ。そして日本では、原子力発電所の運転停止により、エネルギー生成能力が37%縮小されている。一方、米国では、われわれが機会を生み出す必要がある。米国ではエネルギー料金が世界の他のどの地域よりも低いため、文化的にはそれほどエネルギー意識は高くない」
米国では通常、IT電力管理の取り組みは上層部が先陣を切る。CEOには「会社としてより高い社会的責任を果たしたい」、あるいは「景気低迷の中で電力コストを削減したい」といった思いがあるからだ。
米ワシントン州スポケーン市は、数年前に市全域を対象としたグリーンイニシアチブを打ち出した。それに伴い、同市のMIS(経営情報システム)ディレクターであるマイケル・スローン氏は、市のIT環境の節電に取り組んでいる。
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