こうした強力なCPUを搭載するコンピュータには、2つのリスクがある。高熱が発生するリスクと、バッテリー持続時間への悪影響のリスクだ。広範なテストにより、高熱は問題ではなくなっており、ファンノイズはわずかになり、かなり聞こえなくなっている。これはVAIOが、それぞれ音を除去する周波数を出すとされる3つの異なるファンを採用したおかげだ。
VAIO Z Canvasは63キロワット時のリチウムポリマー電池を搭載している。VAIOはバッテリー持続時間を約7時間と見積もっているが、これは明らかに、日々の通常の使い方におけるベストケースシナリオでの時間だ。ベンチマークプラットフォーム「Powermark」を使ってバッテリーを酷使するテストを行ったところ、バッテリー持続時間は2時間35分にとどまった。また、ディスプレイを最大輝度にして、無線LAN経由で動画配信サービス「Netflix」の動画をストリーミング再生する実際的なテストを行ったところ、バッテリーはもう少し長い3時間弱持った。正確には、VAIO Z Canvasは2時間55分でシャットダウンした。
VAIO Z Canvasは、「プロフェッショナルがハイパワーなソフトウェアプログラムを実行しながら長時間作業する」といった使い方を想定したタブレットであることからみて、バッテリー性能はユーザーニーズを満たすには不十分かもしれない。
VAIO Z Canvasは、遊びのツールではない。カジュアルユース用のタブレットを探している人が、このタブレットを目当てのものと勘違いすることはまずないだろう。高価な値段を知ればなおさらだ。一番安いベースモデルでも2199ドル(日本では税別24万9800円)。ストレージは256GバイトSSD(Serial ATA)、RAMは8Gバイトだ。中位モデルでは512GバイトSSD(PCI Express×4)、16GバイトRAMで2599ドルで、上位モデルでは1TバイトSSD(PCI Express×4)、16GバイトRAMで3099ドルになる。Microsoftの「Surface Pro 4」と比べるとかなり高い。Surface Pro 4にすれば、出費を相当抑えられる。VAIO Z Canvasのベースモデルは、同等スペックのSurface Pro 4の1599ドルに対して600ドルも高い。Surface Pro 4はストレージが1Tバイト、RAMが16Gバイトでも2699ドルで済むが、VAIO Z Canvasではこの構成は上位モデルとなり、3099ドルもする。
VAIOは最大のライバルとしてAppleを挙げているが、現在の価格では、Appleに対抗してVAIO Z Canvasを売るのも容易なことではない。パフォーマンス関連のスペックが一番近いApple製品(フォームファクタはひとまず置く)は「MacBook Pro」15インチモデル(1999ドル、日本では税別22万4800円)だが、価格はずっと安い。
VAIO Z Canvasの成否は、VAIOがターゲットユーザー、すなわちWindows環境を使い続ける意思が固く、高いパフォーマンスを得るための投資を惜しまないユーザーを、見つけられるかどうかに大きくかかっている。もしVAIOが見つけられなければ、あるいは価格を下げる方法も見つからなければ、ユーザー側では、市場最強クラスのWindowsタブレットを所有することの魅力よりも、少しずつでも出費を減らし、お金を残していきたいというコスト意識の方が勝ってしまうだろう。
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