2016年04月13日 15時00分 公開
特集/連載

“元祖ブレードサーバ”であるハイパーコンバージドの弱点押され気味なブレードサーバ

ブレードサーバと似ている部分が多いハイパーコンバージド。ブレードサーバよりもコストメリットや柔軟性といった点で優れている一方、ハイパーコンバージドにもデメリットがある。

[Jim O'Reilly,TechTarget]
デルのブレードサーバ「Dell PowerEdge M1000e」(参照:運用負荷を低コストで軽減するブレードサーバ「Dell PowerEdge Mシリーズ」)《クリックで拡大》

 コンバージドインフラやハイパーコンバージドインフラでは、ブレードサーバを上回る高信頼性や高密度、管理のしやすさが本当に得られるだろうか。

 ブレードサーバは多くの点で、コンバージドインフラの元祖といえる。提供形態はベンダーによってさまざまに異なり、サーバブレードのみ、サーバとユニット同士を接続する冗長スイッチの組み合わせ、さらにドライブベイも備えるパッケージといったものがある。これらは最小構成の筐体でも高価で、2万ドル以上する。筐体が固定されているためにクラスタのサイズが制限され、一般的に10台程度のサーバブレードから構成される。

 COTS(Commercial Off-The-Shelf:市販の既製品)コンポーネントは、技術と同じペースで進化するが、ブレードサーバの進化のペースははるかに遅い傾向がある。変更を加えると多くの要素に影響が及ぶため、設計とテストのサイクルが長くなるからだ。この点で、ブレードサーバアーキテクチャはx86サーバよりもメインフレームに似ている。

 一般的に、「あらかじめ構成され、テストされたブレードサーバを導入するのは、独自にITインフラを整備するよりずっと手間が掛からない」と考えられており、それだけでもブレードサーバは企業のIT部門の興味を引く。この一般認識は筆者の経験にも合致する。だが最近のサーバ機器は、ネットワーク接続とテストを経てすぐに使えるよう組み込まれた状態で、ラックやコンテナを納品してもらえるようになった。そのため、ブレードサーバの上記メリットはかなり薄れたといえる。

 こうしたコンバージドのアプローチは、ブレードサーバの全面的なプロプライエタリ性や価格の高さとは無縁だ。従来のマザーボードアーキテクチャのサーバが使用可能であるためコストが抑えられる。IT部門は標準的なスイッチも選択できる。そして恐らく、ブレードサーバに対するコンバージドインフラの大きな強みは、ストレージ(コンバージドノードにはるかに多くのドライブを組み込める)と、アドオン機能の構成(GPUのような)かもしれない。

コンバージドアーキテクチャのコンポーネント

 コンバージドインフラやハイパーコンバージドインフラは、コンピュータ、ネットワーク、ストレージで構成されるクラスタだ。そのアイデアは部分的には、現在のストレージアプライアンスがサーバとそっくりであることから来ている。両者はドライブ数が同じで(10〜12)、同じCOTSエンジンを搭載し、ほぼ同じフォームファクタを採用している。

 「見た目も機能も重なるなら、中身を変えてサーバとストレージを別々に作るのではなく、共通の要素を使って、サーバとストレージを組み合わせたマシンを作ればよい」というわけだ。これによって高いコスト効率が実現され、柔軟なITリソースが得られるとうたわれている。だが、ハイパーコンバージドのアーキテクチャをよく理解し、事実を見極める必要がある。

 コンバージドインフラは、x86マシンやストレージ機器よりも生産効率が高いが、その恩恵を受けるのはデータセンターのユーザーではなく、IT機器ベンダーだ。また、クラスタでは、ディスクドライブやDRAM DIMMといった使用コンポーネントがベンダーのロックインポイントになる。クラスタベンダーからの購入に制限があると、同じアーキテクチャのものを個別に買いそろえる場合よりTCO(総所有コスト)がかなり上昇してしまう。

 長期的な柔軟性やクラスタの拡張性も、企業のIT部門にとっては重要だ。コンバージドインフラでは、システムのさまざまな構成において、ベンダーから提供される選択肢が限られている。特定のモジュールをライトサイジングするのは難しい。例えば、オールフラッシュアレイを追加すると問題が生じる。また、ビッグデータ分析アプリケーションを効率的に利用するには、インメモリ操作や高速なドライブおよびネットワーク、GPUが必要になる。だが標準的なコンバージドクラスタでは、こうした要件を網羅した適切なプラットフォームは提供されない。

 こうしたノード構成の自由度の低さから、クラスタがITワークロードを実行する方法も制限される。あらゆるコンバージドインフラにつきまとう問題は、データセンター(コンピュータ)が乱立するような状況に陥ってしまうことだ。この問題は特に、IT部門がさまざまなワークロードに応じた機能を実現するために、さまざまなコンバージドベンダーやハイパーコンバージドベンダーの製品を導入した場合に顕著になる。

 コンバージドクラスタの活用を成功させるには、ベンダーとITユーザーが協力し、ロックインやサイロ化の問題を克服する必要がある。SupermicroやQuantaのようなODM(Original Design Manufacturer:相手先ブランドによる設計、製造の受託を行う企業)が製造するCOTS製品を利用することで、IT部門はサイロ化を避けながら、特定の目的のためにクラスタやそのサブセットをカスタマイズできる。ソフトウェア専業のDataCore SoftwareやSpringpathのようなベンダーも、コンバージドインフラの活用におけるロックインやサイロ化の回避を支援している。ソフトウェアベースのコンバージドインフラを利用して、IT部門はCephのようなオープンソースの選択肢も含めた中から、ハードウェアやプラットフォームをケースバイケースで選定できる。

 一方、購入ポリシーを変更することで、アドオンの選択をより自由に行うこともできる。コンバージドベンダーのプロプライエタリなドライブの代わりに、コモディティディスクドライブを選ぶといったことが可能だ。こうしたプロプライエタリなドライブは、高度な機能を搭載する分、価格が10倍もすることがある。また、NutanixやMaxtaのような企業が提供するソフトウェアオンリーの、あるいはソフトウェアとハードウェアを組み合わせた製品も、ハードウェアの選択肢を広げる。こうした製品によるオープンコンバージドクラスタは全体として、1社のベンダーが提供する従来のソリューションよりも機動的で柔軟になる。

 上に述べた従来のベンダーによるロックインなどの問題に留意する必要はあるものの、コンバージドインフラの方がブレードサーバよりも元が取れる上、柔軟性を享受できる。

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