「中小企業はもっとクラウドサービスを活用すべき」
「メールアドレスは全社で1つだった」、そんな会社が実現した“Evernote活用術”(1/2 ページ)
愛知県に本社を置く堀江織物とデジタルプリントサービスを提供するHappyPrinters原宿。製造業と店舗運営、それぞれ毛色が違う情報の管理を1人で実践している人がいる。その情報管理方法とは。
愛知県に本社を置く堀江織物は、のぼりや横断幕、タペストリーなど、布への印刷加工を中心とした事業を展開する企業だ。従来の印刷技術であるシルク印刷に加え、最近では型を作ることなく印刷が可能なデジタルプリントも手掛けている。同社取締役の堀江賢司氏は、このデジタルプリント技術の可能性に注目し、堀江織物とは別にOpenFactoryを創業し、個人向けデジタルプリントサービスを提供する店舗「HappyPrinters原宿」をオープンした。同店舗では、個人客が持ち込んだ写真などの画像を、さまざまな素材に印刷するサービスを展開している。
堀江氏が経営に携わる堀江織物およびHappyPrinters原宿では、東京と愛知を行き来する同氏の業務スタイルに合わせた社内コミュニケーションシステムを実現すべく、情報整理アプリケーション「Evernote」を利用している。堀江氏に、Evernoteの採用に至った背景や活用法を聞いた。
場所に縛られない働き方を追求
堀江氏が家業でもある堀江織物に入社するまで、同社は愛知県のみで事業をしており、コミュニケーション手段として利用していたのは電話とFAXのみだった。「製造業にありがちな状況で、メールアドレスは全社で1つのみ。独自ドメインも取得していなければ、Webページも存在していませんでした。自社はもちろん、顧客もアナログ対応に慣れていたので、それで特に問題はありませんでした」。堀江氏はこう振り返る。
もともと東京で働いていた堀江氏は、東京での営業活動にこだわった。堀江織物が本社を置く愛知県も大都市ではあるものの、首都である東京の方が、ITを含め国内外からの情報や人材がより集まりやすいと考えたためだ。だがそうなると、電話とFAXだけでは仕事が成り立たなくなってくる。「場所に縛られる要素をなるべく減らし、東京をはじめどこでも自由に仕事ができるようにするために、社内コミュニケーションを支援するクラウドサービスの導入を検討しました」と同氏は言う。
クラウドサービス導入の検討を始めた2009年当時は、町中に電源カフェなども登場し、場所を問わずに仕事をする「ノマド」スタイルが注目されつつあった時期だ。堀江氏も、東京ではオフィスを借りることもなく、コワーキングスペースを活用したノマドスタイルで仕事をしている。
多様なファイル形式に対応するEvernote
さまざまなクラウドサービスが存在する中で、堀江氏はなぜEvernoteを選定したのか。同氏は「できるだけ簡単に登録できること、そしてさまざまな形式のファイルをまとめて1つのノート(※)として扱えることが決め手になりました」と説明する。
※ノート: Evernoteの情報整理の単位で、紙のノートの1ページに相当する。あるテーマに沿った複数のノートをまとめて「ノートブック」として登録することもできる。
「印刷業という仕事柄、私はテキストや画像はもちろん、『Adobe Illustrator』のテンプレートファイルや『Microsoft Excel』を使った見積書など、さまざまな形式のファイルを使います。Evernoteは、これらを全て1つのノートにまとめられるのです」と堀江氏は語る。クラウドにファイルを保存するオンラインストレージとして、「SugarSync」や「Dropbox」なども存在するが、同氏は「Evernoteはこれらとも別物で、Evernote以外の選択肢はありませんでした」と説明する。
個人ユーザーとしてEvernoteを利用していた堀江氏にとって、業務でもEvernoteを活用したいと考えることは自然な流れだったといえる。ただし、企業内で利用するに当たって、特定の情報にアクセスできる権限を管理したり、必要な情報を企業内でスムーズに共有したりするために、企業向けアカウントの「Evernote Business」を利用している。堀江織物では経営層、HappyPrinters原宿ではスタッフの情報共有手段として使っている。
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