利用シーンでイメージするForce.comとHerokuの連係
100人に100通りのチラシを配る、「Heroku」による全日本食品の会員サイト開発事例(1/2 ページ)
アプリケーション開発への要件が厳しさを増している。モバイル対応は当たり前、SNS連係や基幹システムとのリアルタイム接続など要件は複雑だ。Salesforce.comのApp Cloudはこの課題にどう挑むのか。事例を交えて紹介する。
ビジネスを成長させる手段としてITを活用することが当たり前になった。業務をアプリケーションで管理したり、基幹システムと連係しWebサイトを構築したりするなど、業務におけるITの活用は広がりを見せている。そしてITと業務との関係が深まるほど、アプリケーション開発の要件は厳しさを増す。アプリケーションは一度作って終わりではなく、業務で生まれる多様な要件に迅速かつ柔軟に対応できることも求められるようになった。
その結果、アプリケーションの開発手法にも変化が起こっている。1つがPaaS(Platform as a Service)へのニーズだ。PaaSはクラウドサービスのためインフラを意識する必要がないのはもちろん、アプリケーション開発に必要なミドルウェアをあらかじめ用意し、迅速なアプリケーション開発を支援する。そして、もう1つがノンプログラミング開発への需要である。コーディングを必要としないドラッグ&ドロップでの開発は、アプリケーション開発者の対象範囲を業務部門の人たちにまで押し広げる。アプリケーション改修をIT部門に頼まず、業務部門で解決できればスピードアップにつながる。このPaaSおよびノンプログラミングPaaSを提供する主要ベンダーの1社が、今回紹介するセールスフォース・ドットコムだ。本稿では、同社のイベント「Salesforce Summer 2016 Tokyo」のセッションから「No.1プラットフォーム App Cloudで加速するアプリ革命」の一部をお伝えする。
複雑な要件に1社で対応するSalesforceのApp Cloud
セールスフォースのサービスカテゴリーは多岐にわたる。殊にアプリケーション開発の領域では「App Cloud」というブランドを掲げ、さまざまなサービスを提供している。App Cloudに包含されるサービスには、メタデータ駆動開発プラットフォーム「Force.com」、他言語対応プラットフォーム「Heroku」、Force.com上でビジュアル開発をするための「Lightning」、アプリケーションのマーケットプレース「App Exchange」などがある。営業支援SaaS(Software as a Service)の「Sales Cloud」は、同社がForce.comで開発したアプリケーションである。
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Salesforceの事例
Lightningの動向
Force.comを知る
セールスフォースでマーケティング本部に所属する伊藤哲志氏は、昨今のアプリケーション開発の動向を次のように語る。「最先端のアプリケーションには、さまざまな機能要件が課せられる。生産性を上げるためのダッシュボードやID連係、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)連係、モバイル対応、セキュリティ対策、信頼性向上、リアルタイム接続性、拡張性など、これらの要件が複雑に絡む。ユーザー企業が全てを自前で開発すると大変な労力だ。App Cloudはこうした複雑な要件に応え、柔軟性、開発生産性、接続性を満たす存在となる」
App Cloudの開発生産性とは、ソースコードをガリガリ書くといったようなプログラマーだけが活躍する世界を想定しているわけではない。例えばLightningの開発環境「App Builder」は、「コンポーネント」というブロック状にした機能を組み合わせることでスピーディーに開発できるよう配慮した。コンポーネントはマーケットプレースの「Lightning Exchange」で探すか、プログラミングで開発をする必要がある。一度開発したコンポーネントは、別のアプリケーションで再利用可能だ。ちなみに、これまではモバイル向けだったLightningは、「Summer '16」バージョンからデスクトップUIの機能も備えるようになった。これも開発生産性に寄与するポイントといえるだろう。
もう1つ、App Cloudの開発生産性という観点で重要なサービスがある。Herokuだ。Force.comやLightningがSalesforceのシステム基盤を使ったサービスであるのに対し、Herokuは「Amazon Web Services」(AWS)のインフラで稼働し、Salesforceが開発実行環境を用意するPaaSだ。Herokuではビジュアルコーディングではなく、PHP、Java、Node.jsなどのプログラミング言語を使う。Force.comやLightningが社内業務向けなのに対し、Heroku はこれらSalesforce基盤のサービスと連係し、社外に向けたWebサイトやアプリケーションを構築する際に役立つ。
利用シーンでイメージするForce.comとHerokuの連係
App Cloudのサービスを使ったアプリケーション開発は、どのように進めるのか。伊藤氏は架空の不動産情報サービスを例に、Force.comとHerokuを組み合わせた利用シーンを紹介する。
ある不動産情報サイトがあるとしよう。登場人物は、不動産企業のIT管理者、不動産企業の営業担当者、エンドユーザー(見込み客)の3人だ。エンドユーザーが利用するフロントエンドのWebサイトはHerokuで構築し、バックエンドの不動産情報はForce.comで管理している。両者をデータ同期ツール「Heroku Connect」を介して連係すれば、Force.comで不動産価格を変更したり、App Builderを立ち上げて地図コンポーネントを追加したりした際にも、リアルタイムでHerokuのWebサイトに反映できるというわけだ。企業内SNS「Salesforce Chatter」と連係すれば、エンドユーザーが物件をお気に入り登録した際や、その物件の価格が下がったタイミングで担当営業者のChatterに通知するなどのプロセスを仕込むことも可能だ。
上記のような利用シーンをベンダーによる絵に描いた餅と捉える向きもあるだろう。実際に、バックオフィスシステムとHerokuを連係してビジネスに効果をもたらした全日本食品(東京都足立区)の事例を紹介しよう。
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