企業システムで求められるバックアップ要件を基に、バックアップの種類や手法、格納先、そして仮想環境のバックアップ方法について解説する。
連載第1回「いまさら聞けない、バックアップ技術の学習で欠かせない3つの基礎」では、バックアップ/リストアの必要性およびRTO(目標復旧時間)/RPO(目標復旧時点)について解説した。第2回はバックアップ手法や必要な媒体、ツールをテーマにする。まずは企業システムに求められるバックアップ要件の例を挙げる。
上記はシステムのサービスレベルを維持するために、バックアップに求められる要件の代表例である。これらを実現するための基礎知識をお伝えする。
はじめに、バックアップは大きく2つの種類に分類できる。
1つ目のシステムバックアップとは、OSを中心に一定の容量で変更点の少ない領域を対象としたバックアップを指す(図1)。サーバ環境ごとバックアップする場合がほとんどだ(クライアントPCを対象にした場合はイメージバックアップと称することもある)
頻繁に取得するものではないが、何らかの理由でサーバが壊れ復旧が困難と判断した場合、システムバックアップで取得したバックアップをリストアすることで、バックアップを取得した時点のサーバ状態へ戻すことができる。
主にシステムの新規構築時や機能改修などのパッチ適用時、新たなアプリケーションを導入したときなど、対象システムの構成に変更が生じた際に取得する。
2つ目のデータバックアップは、変更頻度の高いデータのみをバックアップすることを指す(図2)。主にデータベースに保存されたデータや共有フォルダに保存されたファイル、アプリケーションデータをバックアップする。システムバックアップと同様に、バックアップ対象のデータに限り、バックアップ取得時までの状態に戻すことを想定している。バックアップ対象のデータは、頻繁に更新される変化の大きいデータに限定し、比較的高い頻度でバックアップを取得する。
システムバックアップはシステム全体をバックアップするので、時間や保管容量といったリソースを多く消費する。従って毎時や毎日という短い間隔でのバックアップ取得には向いていない。一方データバックアップは更新頻度の高いデータに限定してバックアップを取得するため、システムバックアップと比べてバックアップのデータ容量や取得時間を抑えることができるのが一般的だ。この2つのバックアップを適切に組み合わせて使い分けることで、高いRTO/RPOを実現していくことが基本となる。
次にバックアップ手段に関してお伝えする。一番シンプルな手段は、OSに付属するコマンドやツールを使うことだ。具体的には以下のようなコマンドを使う。
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