サーバやストレージのようなインフラとは異なり、EMMやVDIのようなEUC(エンドユーザーコンピューティング)の投資は、ROIの評価が単純ではない。コスト削減以外の効果にも目を向ける必要がある。
金は天から降ってくるものではない。それは企業のIT部門でも同じだが、限られた予算で最大限の投資対効果(ROI)が求められる。エンドユーザーコンピューティング(EUC)では高いROIを期待できるが、それも勝手に天から降ってくるわけではない。
サーバやストレージなどのハードウェアやインフラのROIは分かりやすく、リソースが生み出す効果とコストを比較すればいい。これらのリソースは刷新することで運用費、電気代、冷却費、設置スペースコストなどの支出を削減でき、企業に利益をもたらす。これに対し、EUCはそうした直接的な金額につながらない。IT業務の費用対効果より、従業員の業務を向上させるのが目的だからだ。
Oral Roberts UniversityのCIO、マイケル・マシューズ氏は次のように話す。「ROIという用語はもはや金銭的効果に限定されない。どんなものもROIとなり得るから、競争力につなげる必要がある」
EUCは従業員の業務を向上させることによって企業の競争力を高める。その効果は数値化しにくく、ROIの測定は難しい。EUCの投資対効果は、生産性や従業員の満足度、IT要員の負担軽減、データセキュリティなどに現れる。EUCツール導入前と比べてIT関連支出が縮小すれば、たとえ直接の利益が発生しなくても金銭的ROIと見なすことができる、とマシューズ氏は話す。
また、導入する機能ごとにROIは異なり、エンタープライズモビリティ管理(EMM)のROIと仮想デスクトップインフラ(VDI)のROIはそれぞれ違う。
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