次世代テープ規格「LTO-8」は容量倍増を予定しており、データアーカイブ用途として有力な選択肢になりそうだ。テープシステムは階層型ストレージで効果的な役割を発揮できる、と関係者らは語る。
リリースを間近に控えたLTO-8(Linear Tape-Open。磁気テープのオープン規格)はテープストレージ(以下、テープ)の容量が前作のおよそ2倍になる予定だ。データの長期保存やオフラインデータ保護の選択肢として注目が集まっている。
LTO-8は、1カートリッジ当たりの圧縮時容量32T(テラ)B、圧縮時データ転送速度最大1180MBps、非圧縮時容量12.8TB、非圧縮時データ転送速度472MBpsを提供する予定だ。LTO-8ドライブの一般販売は2017年中に開始するとみられている。
テープを推進している人にとってのテープの利点は、容量が大きいことと明確なロードマップがあることだという。テープ規格LTOはほぼ2、3年ごとに新作を発表し、そのたびに容量を倍増させている。ロードマップによれば、圧縮時容量120TB、非圧縮時容量48TBの第10世代も計画に入っている。
データの高速復旧を求める企業から見るとディスクの方が優れた選択肢と考えがちだが、長期保存やセキュリティの面ではテープにも利点がある。
ストレージ分野のコンサルタントでTechTarget寄稿者でもあるジム・オライリー氏は、社内テープライブラリ(複数のテープを1つのまとまりとして管理する装置)の場合、データの復元に数十分はかかり、ディスクを使用するバックアップと比べてランダムファイルアクセスが遅いと語り、そのために「障害発生時のテープからの復旧は非常に時間がかかる可能性がある」という。
ランダムファイルアクセスとは、非連続に格納されたデータについて住所の情報を元に検索する仕組みを指す。一方で先頭から順にファイルを読み取る形式はシーケンシャルアクセスと呼ぶ。
オライリー氏はテープによる保管の用途として、石油調査などで利用する遠隔測定や科学実験の結果など膨大な量のデータの保存を挙げ、「アクセス速度を重視せず、再調査のために過去のデータを保存することに意義がある場合」に適していると述べた。
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