クラウド全盛期ともいえる現在だが、これまで使われてきた技術が急に無くなるわけではない。アーカイブで活躍していたテープも、時代に合った進化を遂げている。
最近、テープストレージ(以下、テープ)による重要情報の履歴保存(アーカイブ)をそろそろやめてもよいのではないかという記事をインターネットで目にした。アーカイブしたデータなど、企業が蓄えた全てのデータに隠された価値を素早く見いだそうとするなら、テープのようなシーケンシャルアクセス媒体ではなく、ディスクやフラッシュのようなランダムアクセス媒体を導入すべきだ、というのがその記事の趣旨だ。記事の著者は、開発担当者がテスト用に匿名データを検索する場合や、映像作品を制作する場合などのデータアクセスの速度が求められる例を紹介していた。
なお、シーケンシャルアクセスは、連続したデータを順次アクセスして呼び出す方式である。ランダムアクセスは、不連続に格納されたデータについてアドレス(番地、住所)を指定することで直接データを呼び出す方式である。
テープによるアーカイブに問題があるというこの例には、そもそも根本的な疑問がある。頻繁にアクセスするデータは、厳密にはアーカイブデータとはいえないのではないか。IBMの専門用語を使えば、完全停止状態(コールド)から稼働準備状態(ウォーム)または稼働状態(ホット)に変化しているのではないか。言い換えれば、テープを使っているかどうかが問題なのではなく、そのような状態のシステムが使用するデータをアーカイブの手法で考えることが間違っている。
問題は、テープによるアーカイブをやめるべきかどうかではなく、どのデータをアーカイブし、どのデータを常時利用状態(アクティブ)にしておくかを適切に定義して分類すべきであるということだ。
TechTargetでの記事(Active archive software: Not just for the enterprise anymore)ではアクティブアーカイブという考え方を紹介している。記事によると、アクティブアーカイブとは、大容量ディスクを使う二次ストレージと、テープや光ディスクを使う三次ストレージを融合するものだという。ここでいう一次や二次、三次ストレージというのは、それぞれ主のデータ格納領域(プライマリストレージ)を一次ストレージ、そのバックアップを目的としたものを二次ストレージ、アーカイブを目的としたものを三次ストレージとする考え方である。このアクティブアーカイブであればアーカイブであっても素早い検索が可能となるため“テープによるアーカイブは止めよう”という主張は覆すことができる。
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