SAPは「2018 SAPPHIRE NOW」で新しいCRM「C/4HANA」を発表した。これは「Salesforce」に対抗する位置付けの製品だが、ユーザーがすぐにも導入しそうな気配はない。SAPがCRM市場の見直しを迫れるかという疑問も残る。
SAPの新しいCRMスイート「C/4HANA」は、同社のイベント「2018 SAPPHIRE NOW」でおおむね好意的な評価を得た。だが、Salesforce.comの「Salesforce」が独占するCRM市場に挑戦するには、C/4HANAにさらなるテコ入れが必要かもしれない。
「2018 SAPPHIRE NOW」の初日である2018年6月5日、SAPはC/4HANAを発表し、Salesforceに対抗する意図を明確に示した。C/4HANAは「SAP Hybris」をベースにしたCRMプラットフォームだ。このプラットフォームは、買収したGigyaの技術を基にする「SAP Customer Data Cloud」や、買収したCallidusCloudの技術を基にする「SAP Sales Cloud」など、SAPがもともと有していたCRMポートフォリオのクラウドベース製品で構成している。
C/4HANAの考え方は、CRMフロントエンドと同社のデジタルコアERPバックエンド「S/4HANA」を結び付けるCRMの新しいパラダイムを提示するものだ。そのパラダイムは「SAP Cloud Platform」で提供する。これにより、企業は顧客についてより総合的に考察でき、しかも、競争に先んじることができる速度でコアERPの信頼されたマスターデータをS/4HANAで処理できる環境が実現する。信頼されたデータを使用して顧客についての見解を迅速に提示する機能は、「以前のCRMでは出し惜しみされていた」と、SAPのCEOビル・マクダーモット氏は初日の基調講演で語った。
マクダーモット氏はその後のプレスカンファレンスで次のようにも述べた。「SAPには新しいアイデア、優れたアイデアがある。優れたアイデアは必ず勝つ」
SAPには、CRM市場でSalesforceに挑戦するにふさわしいアイデアとテクノロジーがあるだろうか。アナリストの中には今回の発表に条件付きで賛同する者もいた。だが、一部の顧客はC/4HANAを利用するかどうかを判断するには時期尚早だと考えている。
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