「Slack」「Microsoft Teams」がビジネスツールとの連携を加速させる中、Facebookは「Workplace by Facebook」に同じ道を歩ませようとしている。それはユーザー側が本当に求めていることなのか。
Facebookは、コラボレーションツールとして「Workplace by Facebook」(以下「Workplace」)を売り出そうとしている。だがユーザー組織は、利便性の高いイントラネットとしてWorkplaceを捉えている。遠隔地やパートタイムの従業員を多数抱える大規模組織は、組織内全体にまたがるコミュニティーを育成するのにWorkplaceを役立てている。
Slackの同名サービスやMicrosoftの「Microsoft Teams」といった、主要なコラボレーションツールに匹敵する存在にWorkplaceを育てようと、Facebookは努力してきた。サードパーティー製のビジネスソフトウェア/サービスとの連携は、その一環だ。だがWorkplaceのユーザー組織に話を聞いても、こうした連携機能を利用しているという声はなかなか聞こえてこない。チャット機能「Workplaceチャット」の導入も広がっていない。
Workplaceのユーザー組織は、Microsoftの「Skype for Business」のようなユニファイドコミュニケーション(UC)システムを引き続き利用している。Workplaceの主な用途は、社内全体への告知や部門間のコラボレーションの促進だ。
ダイエットプログラム大手のWeight Watchers、保険会社のFarmers Insurance、世界自然保護基金(WWF)といったユーザー組織に、Workplaceについて話を聞いた。ビール会社のHeineken USAと非営利団体のRooftop Housing Groupにも別途インタビューした。Rooftop Housing Groupは、英イーブシャムを拠点とし、従業員約200人を擁する。Workplaceのユーザー組織は3万組織を超える。
Weight Watchersでは、オフィスでデスクワークをしている従業員は、全体の10%にすぎない。WWFは、世界80カ国以上に拠点を構えている。米国で勤務するHeineken従業員の3分の2は、地域のオフィスには週に1、2度しか立ち寄らず、通常はオフィス以外を活動拠点にしている。
これらの組織がWorkplaceを導入した理由は、Workplaceがモバイル中心で、コンシューマー向けFacebookの普及に伴い、大半の従業員が使い方を直感的に把握していたからだ。「週に2時間程度しか社内で働かない従業員でも、仕組みを直感的に体得し、使い方を理解して、使いこなせるようになると考えた」。こう話すのは、Weight Watchersで企業広報部門のシニアバイスプレジデントを務めるステーシー・シェラー氏だ。
コンシューマー向けのFacebookと同様、Workplaceでもエンドユーザーは「いいね!」やコメントの付与、投稿のシェアができる。Workplaceの導入以降、従業員は会社のニュースに接する機会が増え、所属チームの仕事の最新状況を頻繁に投稿するようになったという組織もある。「現場作業でも、財務関連の業務でも、管理職でも、WWFに所属してその仕事に携わっていることを、より実感できるようになっている」と、WWFのネットワーク通信部門を統括するケート・クーク氏は話す。WWFをはじめとする非営利団体には、Workplaceは無償提供されている。
Workplaceの導入により、今までは相互に連携することがなかったチームや部門間でのコラボレーションが増えた組織もある。Weight Watchersでは、国内の別の部門に属する従業員同士が、顧客を支援するためのベストプラクティスについて話し合うようになった。WWFでは最近、通常は本部が主導することが多い広報キャンペーンについての投稿が、アルメニア支部からあったという。
2018年5月、Facebookはプロジェクト管理の「Jira」(Atlassian)やマーケティング支援の「HubSpot」、アンケート作成の「SurveyMonkey」など、約50種類のビジネスソフトウェア/サービスとの連携を発表した。これはSlack、Microsoft Teams、「Cisco Webex Teams」(Cisco Systems)のような主要コラボレーションツールに続く発表だった。
この件について話を聞いたWorkplaceのユーザー組織の大半は、こうした連携機能の利用を始めていない。
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