「文化はデジタルトランスフォーメーションの障害になることがある。その場合、文化を変える“カルチャーハック”を実践するのはCIOの仕事だ」。Gartnerのアナリストはそう語る。
「最高情報責任者(CIO)が人事担当役員のように、企業文化の変革において大きな役割を担う」。そんな状況を想像してみよう。遠からぬ将来、それは現実のものとなるだろう。Gartnerの最上級バイスプレジデント兼アナリスト、クリスティン・モイヤー氏は語る。
Gartnerによると、CIOは2021年までに最高人事責任者のように、文化の変革に責任を持つようになる。では、CIOはその責任をどのように果たすのだろうか。
100ページのスライドを使ってプレゼンテーションをしたり、大演説をしたりしても変革はできないと、モイヤー氏は語る。CIOのすることは長時間の会議を何度も開き、企業文化の変革に向けた壮大な計画を作ることでもない。
CIOの切り札は、“カルチャーハック”だ。それはシンプルで小さなことだが、企業文化の変革に大きな効果を発揮し、その過程でデジタル戦略を実現する。
「カルチャーハックは、“ハッキング”のようにシステムの脆弱(ぜいじゃく)なポイントを見つけて、そこからシステムに不正に侵入することではない。だがそれに近いところがある。文化の脆弱なポイントを発見し、そこを改善して、その変化を定着させることがカルチャーハックだ」モイヤー氏は、2018年10月に開催されたGartner Symposium/ITxpo 2018で行った開幕基調講演の中でそう語った。
文化を変えるのは難しい。GartnerがインタビューしたCIOは、文化がデジタルビジネスの可能性を引き出す妨げになる最大の障害の1つだとの見方を示したという。
カルチャーハックは、簡単に文化を変えられるように考案されていると、モイヤー氏は説明する。CIOが慣れている、大規模で困難な長期プロジェクトとは異なり、カルチャーハックは、48時間以内に実行できるよう設計されている。また感情に働き掛け、即効性があり、目に付きやすい。モイヤー氏はこれらの特徴のおかげで、カルチャーハックは成功しやすいとしている。
モイヤー氏は、Gartner Symposium/ITxpo 2018に集まったIT担当者に、10のカルチャーハックを紹介した。
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