モバイルデバイスのキッティングが楽に
Androidの「ゼロタッチ登録」、多少の制限があっても使いたくなる魅力とは
ゼロタッチ登録を利用すれば、Androidデバイスのプロビジョニング作業を簡略化できる。多少の制約はあるものの、組織によってはこの方法で大きな恩恵を受けられるだろう。
新しい従業員用のモバイルデバイスをセットアップする作業に苦労している組織は少なくない。膨大な数の拠点で働く従業員を抱える組織には、特にそれが当てはまる。
従来のデバイス登録手段は、IT担当者がそれぞれのモバイルデバイスを設定してからそのデバイスをユーザーに支給しなければならなかった。その手順には数日あるいはそれ以上の日数を要する場合がある。そうなると組織にとっては、新しいモバイルデバイスをユーザーに配備する効率が悪くなる。
Googleが用意する「ゼロタッチ登録」という手法は、モバイル管理者がこの問題に対処するのに役立つ。ゼロタッチ登録は、組織支給の新しいデバイスを利用可能な状態にするプロビジョニング方法のスリム化を図り、迅速にユーザーの手元に届けられる合理的なアプローチだ。ただしゼロタッチ登録を利用する前に認識しておくべき「限界」がある。
ゼロタッチ登録の仕組み
モバイルデバイス管理者がゼロタッチ登録を利用すれば、ユーザーがデバイスの電源を入れるまでに、必要な設定を確実に済ますことができる。
新規ユーザーが、ゼロタッチ登録の対象デバイスを最初に起動すると、デバイスが自動的にWebブラウザを立ち上げ、IT部門がそのデバイス向けに用意した専用のWebサイトを開く。続いてデバイスは、IT部門指定の設定ファイルをダウンロードする。この設定ファイルは、IT部門が「エンタープライズモビリティー管理」(EMM)や「統合エンドポイント管理」(UEM)といったツールを使ってあらかじめ作成しておく。
設定ファイルのダウンロードが完了すると、UEM/EMMツールは組織が事前に指定したプロファイルに従って、デバイスの設定をする。そうした手順が済むと、IT部門がEMM/UEMツールを介してデバイスを管理できる状態になる。
この手順には「ゼロタッチ登録ポータル」という専用ポータルを利用する。ゼロタッチ登録ポータルの利用には、組織のメールアドレスにひも付いたGoogleアカウントが必要だ。「IBM MaaS360 with Watson」「MobileIron Unified Endpoint Management」「VMware Workspace ONE」「Citrix Endpoint Management」といった主要なEMM/UEMツールはゼロタッチ登録を利用できる。ただし全てのEMM/UEMツールでゼロタッチ登録が利用できるわけではない。
利用可能なAndroidデバイス
残念ながら、全てのAndroidデバイスでゼロタッチ登録を利用できるわけではない。対象デバイス一覧の中には「Google Pixel 3」「Galaxy S10」「Nokia 7.1」など、7000種類以上のOEM(メーカーが他社ブランドの製品を製造したもの)デバイスが含まれる。
組織はそうしたデバイスを、Verizon Wirelessなどの組織向け販売パートナーから調達する必要がある。コンシューマー向けの店舗から調達したデバイスでは、ゼロタッチ登録は利用できない。
一部の携帯電話会社やOEMは、例えばSamsung Electronicsの「Knox Mobile Enrollment」のような、ゼロタッチ登録と同様のコンセプトに基づくサービスを提供している。そうしたサービスを選ぶ組織は、Googleの代わりに、そうしたサードパーティーベンダーが提供する設定管理システムの手順に従う必要がある。
IT部門がゼロタッチ登録を検討すべき場面
スマートフォンの在庫管理やデバイスの事前設定を望まない組織にとって、ゼロタッチ登録は優れた選択肢となる。ユーザーが組織支給デバイスを受け取るまでの時間もはるかに早くなる。
ゼロタッチ登録は無料ではないものの、代替策を考えると総コストは比較的抑えられる。ゼロタッチ登録を利用しなかった場合、デバイスの調達やプロビジョニング、支給などは全て組織でしなければならない。
支給業務の処理に伴う負担を望まない小規模の組織にとっても、ゼロタッチ登録は優れた選択肢といえる。従業員が多数の拠点でモバイルデバイスを利用する大規模組織も、ゼロタッチ登録を利用したいと考える可能性がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
市場調査・トレンド
[AvePoint Japan株式会社] SCS評価制度の死角は“SaaSの中” クラウド標準機能では届かない領域とは? -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] 5分で分かる、「オープンソースCMS」比較ガイド -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] 1つのアプリを各国で運用 多言語モバイルアプリを簡単に開発・導入できる方法 -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 複雑化するKubernetes運用、VMとコンテナの二重管理を解消する方法は? -
市場調査・トレンド
[アルプス システム インテグレーション株式会社] 急増する高度なフィッシング詐欺 先回りしてブロックするには何が必要?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft 365導入後も稟議は「Excelをメールで回覧」 承認が止まる理由
-
2
米国防総省で300万人分の個人情報が流出 その「意外な原因」と教訓
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
4
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
5
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
6
金融・通信で情報漏えいが続出 IPAとJPCERT/CCが情シスに求める緊急点検
-
7
「年1回の外部診断」が限界に 大手小売が脆弱性管理を内製化・一元化した方法
-
8
京王電鉄・東京メトロの被害から学ぶ境界防衛 ITの侵害はどこまで波及するか
-
9
PHP2Shellの「事前の情報流出」でパニックに パッチ公開を巡る“混乱劇”
-
10
Googleの業務向けAIエージェント「Gemini Agent」が登場 しかし課題は山積み
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
5
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
6
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
7
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ
-
10
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー