ERP標準機能ではないレポートツールを買う意味はあるのか Excelで十分?不動産管理会社のERPレポート活用事例【後編】

ERPシステムは標準でレポート機能を搭載する。標準機能で十分と考えるか、それでは不十分だから専用ツールを選ぶかは、ユーザー次第だ。専用ツールには当然、それならではの強みがある。

2019年12月11日 05時00分 公開
[Jim O'DonnellTechTarget]

 カナダの不動産管理会社Maclab Properties Groupの一部門であるMidwest Property Managementは、既存ERP(統合業務)システムの標準レポート機能に欠けていた要素を補うために、insightsoftware(Global Software)のERPレポートツール「Spreadsheet Server」を導入。会計レポート準備にかかる時間を毎週約20時間も短縮したという。前編「不動産管理会社が『ERPの標準レポート機能は不十分』と感じた理由」に続き、後編となる本稿は、一般的なERPシステムにおける標準レポート機能の不足点と、その代替手段について取り上げる。

ERPの標準レポートツールの不足点

 調査会社IDCでビジネス分析部門のリサーチディレクターを務めるチャンダナ・ゴパール氏によると、Spreadsheet ServerのようなERPレポートツールは、ERPの標準レポート機能に欠けているさまざまな機能を補うことで、組織にメリットをもたらすという。ERPシステムを1つしか導入していなければ標準のレポート機能でも役立つ可能性はある。だが最近ではそのようなことはめったにない。

 ゴパール氏によると、大半の企業はERPシステムやバックオフィスソフトウェアなど複数のSoR(System of Record)を運用し、複数のシステムログを有している。そのためレポートツールはそれらを1つにまとめなければならない。戦略的意思決定のベースにする会計報告をはじめ、経営幹部が優れたレポートを手にするためには「ERPシステムにSpreadsheet ServerなどのERPレポートツールを組み合わせなければならないのが一般的だ」と同氏は指摘する。

 Spreadsheet Serverは、製造、不動産、石油、ガスなどの業界に特化した幾つかのERPシステムと密に連携するのが特徴だ。こうしたERPシステムを既に運用している企業は「Spreadsheet Serverを素早く導入できる」とゴパール氏は説明する。「Spreadsheet Serverはこれらの業界向けツールとのデータ連携に強みを持っているので、レポートの取得と運用は一般的なERPシステムの標準レポート機能よりも優れている」(同氏)

 ビジネスインテリジェンス(BI)ツールなどの分析ツールが市場にあふれかえる今、Spreadsheet Serverはどの企業にも適しているわけではない可能性があるとゴパール氏は語る。Qlik TechnologiesやTableauの汎用(はんよう)ツールを使用する選択肢も、目的や部署によって複数のツールを使い分ける選択肢もある。

 「使用可能なツールは多数あり、事業部門(LOB)はそれぞれに最適なツールを選ぶ必要がある」とゴパール氏は述べる。Spreadsheet Serverが主に使用されるのは、マーケティング、営業のような汎用業務ではなく、主に財務関係の業務だと同氏は説明する。

ライバルはExcel

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