シェル、ハリバートン、ユニバップが考える「今のAIにできること」先進企業のIT幹部が語る現実的なAI戦略

いち早くAI技術を活用した企業は、AI技術を自社のビジネスに積極的にどう生かしているのか。先駆的な企業の話から、AI技術の可能性を明らかにする。

2020年02月25日 05時00分 公開
[David NeedleTechTarget]

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 さまざまな企業のIT部門の幹部が、社内の業務改善や複雑な問題の分析、自社の最終利益の実現に人工知能(AI)技術を導入している。調査会社Constellation Researchのカンファレンス「Connected Enterprise 2019」のパネルディスカッションに登壇したIT部門幹部は、自社のビジネスモデルを変革する際にAI技術がいかに役立ったかを説明した。

 創業100年の歴史を有するHalliburtonは、エネルギー業界に製品やサービスを提供する世界有数の企業だ。同社でチーフデータサイエンティストを務めるサティヤム・プリヤダルシ氏によると、同社は過去20年にわたってAI技術を利用してきたが、AI戦略を多面的な問題に応用できるようになったのはつい最近のことだという。

 他の大企業と同様、Halliburtonも社内全体の情報へのアクセスを容易にするデジタル戦略を進めている。「従業員の退職に伴い多くの知識が失われる。そのため、その知識を取り込む手段を用意しなければならない」とプリヤダルシ氏は言う。取り込む情報が多くなれば、AI技術を利用した情報の分析や検索が容易になる。

予防保全にAIを利用するShell

 Shell InternationalはHalliburtonと協力関係にある企業だが、AI技術には独自に投資している。Shellでデータサイエンティストを率いるデヴァル・パーンディヤ氏によると、同社でAI技術が大きく関与する分野は予防保全であり、AI技術がサポートするのは、石油掘削装置などのシステム部品を交換する時期の把握だ。

 世界各地にガソリンスタンドを持つ世界有数の小売業者であるShellは、1000億個を超えるデータポイントから顧客の行動や作業の傾向を集めている。このデータを有効活用すべく、同社はAI技術を生かそうとしている。そのためには、まず文化を変えなければならなかった。

 Shellの文化は「早めに失敗を経験し、その失敗から学ぶように変わった」とパーンディヤ氏は話す。数十億ドルが絡む同社にとっては、大きな考え方の変化だ。「AI技術が可能にすることに目を向けたことが、考え方を変えるのに役立った」(同氏)

最初からAIを利用 「月の採掘」を目指すUnibap

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