企業の間でテレワークが広がる中、データのバックアップの手段に変化が求められている。“テレワーク前提時代”の有力なバックアップ手段となり得るのが「BaaS」(Backup as a Service)だ。その根拠とは。
バックアップ製品の機能をサービスとして利用できる「BaaS」(Backup as a Service)が、企業にとってますます魅力的な選択肢になっている。BaaSを利用すれば、構築や運用のコストが掛かるオンプレミスのインフラで、バックアップファイルを保管する必要がなくなる。在宅勤務をはじめとしたテレワークへの全面的な移行を進めている企業では、BaaSの利用が合理的だ。
オンプレミスのインフラとクラウドサービスへのワークロード(システムやシステムの稼働で発生する負荷)の分散は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が始まる前から、長い期間をかけて進んできた。パンデミックによってテレワークへの移行が一気に加速したことで、BaaSの必要性が急速に高まった。「データの管理とバックアップのプロセスがシンプルになる」と、調査会社Info-Tech Research Groupのカルミ・レビー氏はBaaSのメリットを説明する。
BaaSでは、バックアップ用インフラの運用管理に関わるほぼ全ての作業をベンダーが引き受ける。バックアップファイルはクラウドサービス側に保管するため、遠隔地からのアクセスも容易だ。
これまでのバックアップ製品では、バックアップファイルからデータをリストア(復旧)する必要がある場合、IT管理者が物理的な記憶媒体を使用して手動でリストアしなければならなかった。こうした制約がないことはBaaSのセールスポイントであり、パンデミックの発生でこうしたメリットがより際立つようになった。
BaaSを使えば、遠隔でリストアが可能だ。これはテレワーク実施時にシステム障害が発生した局面で役に立つ。ソフトウェアのレビューを手掛けるSelect Software ReviewsでCEO(最高経営責任者)を務めるフィル・ストラズーラ氏は「オフィスに行かなければデータを復元できない状況は生産性を損なう可能性がある。パンデミックによる自粛期間中は特にそうだ」と語る。
バックアップファイルはBaaSベンダーが効率的に管理する。システム障害など何らかの問題が起きて、バックアップファイル内のデータが必要になった場合、要求すればすぐにそのデータを利用できる。「これは企業が業務継続をする上での安心感につながる」と、コンサルティング企業EisnerAmperのラーフル・マハナ氏は語る。「オフィス勤務からテレワークに移行する現状、BaaSよりも適切なバックアップ方法はないと言ってもいい」とマハナ氏は言い切る。
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