クラウドサービスはハードウェアの購入が不要だが、オンプレミスのインフラと比べてコストが下がったり、必要なスキルが少なくなったりするとは限らない。2つのインフラの「コスト」と「必要なスキル」の違いとは。
IaaS(Infrastructure as a Service)やPaaS(Platform as a Service)といったインフラ関連のクラウドサービスとオンプレミスのインフラは、どちらも一長一短だ。クラウドサービスはハードウェアの購入や保守をする必要がないが、状況によっては、オンプレミスのインフラで稼働するシステムをクラウドサービスに移行させることで、高額なコストが掛かる場合もある。
前編「クラウドとオンプレミスはどちらがより『安全』で『信頼』できるのか」に引き続き、クラウドサービスとオンプレミスのインフラを比較する4つのポイントのうち、残る2つを説明する。
クラウドサービスの場合、CPUやメモリといったリソースを使用した分だけコストが発生する。クラウドサービスの内外で頻繁にデータをやりとりしたり、蓄積するデータ量が継続的に増加したりするシステムの場合、クラウドサービスを使い続けると多額のコストが発生する事態になりかねない。
オンプレミスのインフラの場合は、ハードウェアの用意が必要だ。既にハードウェアを所有している場合、コストはハードウェアの保守と電気代だけになることもある。ただしシステムを拡張するときに、場合によっては追加でサーバハードウェアを購入する必要が生じる。
クラウドサービスとオンプレミスのインフラを比較検討する際には、それぞれの運用に必要なスキルを検討することが重要だ。クラウドサービスの主要なメリットに、ハードウェアの管理という複雑で難しい作業が不要になることがある。ただしクラウドサービスの利用で習得すべき新しいスキルが存在しないという考えは間違いだ。
例えばAmazon Web Services(AWS)の同名クラウドサービス群を利用するときに、アクセス制御ツールの「AWS Identity and Access Management」(AWS IAM)を使ったアクセス制御の方法を習得することは、それ自体が難しい。AWS IAM以外にも、AWSは無数のサービスや機能を提供している。これらを利用すればするほど、習得しなければならないスキルは多くなる。
クラウドサービスは複数のメリットを持つが、選べるインフラがクラウドサービスだけだという状況は多くない。ハードウェアの管理が不要なことや初期コストの安さからクラウドサービスを選択する企業もあれば、クラウドサービスを選択することが現実的ではない企業もある。クラウドサービスとオンプレミスのインフラのどちらを選ぶにしても、自社の業務プロセスや事業、従業員にもたらす可能性があるメリットとデメリットを考慮しなければならない。
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