「5G」は「ユニファイドコミュニケーション」(UC)のユーザー企業にどのような価値をもたらすのか。「4G」「LTE」との比較を交えて解説する。
「5G」(第5世代移動通信システム)は、世界を席巻するという期待を集めている技術だ。エンドユーザーから見ると、「4G」(第4世代移動通信システム)や「LTE」(Long Term Evolution)などの前世代技術と比べ、データ伝送の信頼性や速度の向上、レイテンシ(遅延)の低減などさまざまな利点がある。
T-Mobile US、Verizon Wireless、AT&T Mobilityなど米国の通信事業者は、5Gサービスの提供を開始した。企業が利用する中核的なコミュニケーションシステムである「ユニファイドコミュニケーション」(UC)も、5Gが実現する広帯域幅や低レイテンシなどの恩恵を受けられる可能性がある。
現在、社内LANの外部からUCを利用する際は、妥協を強いられがちだ。動画など大容量データの送受信を伴う機能を利用するには、広帯域幅や低レイテンシなどの性能要件を満たす必要がある。現行の移動通信システムでは、最低限の性能要件を安定的に満たすことは難しい。エンドユーザーは利用するネットワーク次第で、UCの利用方法を変えざるを得ない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、在宅勤務などのテレワークを実践する動きが広がる中、こうした状況を放置することはできない。そこで5Gの出番となる。
細かい違いは別として、5Gが4G/LTEより優れている点は、3つに大別できる。
5Gは4G/LTEと比較して、データ伝送速度が最大で約100倍高速になると考えられている。実効速度では5~10倍の向上になるだろう。それほど大きな違いではなさそうに見えるが、モバイルデバイスでUCを利用するエンドユーザーが、大量の帯域幅を消費するサービスを利用するには十分だ。高品質動画のリアルタイムストリーミングも可能になる。
データ伝送速度と同等か、それ以上に重要な要素がレイテンシだ。5Gのレイテンシは4G/LTEの約10分の1に低減するという。レイテンシの低減で、5G網で社内LAN同様に、最新のUCが機能するようになる。
低レイテンシの恩恵が特に大きいのは、高解像度の音声や動画などのリアルタイム通信だ。4G/LTEでは音声や動画が途切れたり、フレームレート(単位時間当たりに処理する静止画数)が下がったりすることがある。5Gを使えば、こうした問題がほぼ解消される。
5Gは4G/LTEよりも、はるかに多くの機器を同時に接続できる。これにはIoT(モノのインターネット)デバイスも含む。5GとUCを併用すると、コミュニケーションの相手は他のUCユーザーだけではなく、自律的な機器とも通信できるようになる。さまざまなIoTセンサーやモニタリング機器、監視カメラなどとの連携が、UCの新しい機能として加わる可能性がある。
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