IBMは今なぜ「従量課金型Power Systems」を売るのか「Power Systems」の変化に潜むIBMの狙い【前編】

IBMはサーバ製品群「IBM Power Systems」に従量課金型の料金体系を導入した。ユーザー企業にとって、どのようなメリットがあるのか。

2020年10月07日 05時00分 公開
[Ed ScannellTechTarget]

 IBMはサーバ製品群「IBM Power Systems」の一部を従量課金制で利用可能にすることで、クラウドサービスとの親和性を高めた。ユーザー企業は、基幹システムなど障害や中断が許されないミッションクリティカルなアプリケーションをハイブリッドクラウド(オンプレミスのインフラとクラウドサービスを組み合わせたインフラ)で運用しやすくなる。従量課金制の料金体系を利用すると、ユーザー企業はシステムの上限を超えた分のリソースを従量課金で調達し、対象のIBM Power Systems製品の間で共有できる。余分なリソースを抱えずに済むため、設備投資を削減できるメリットが得られる。

IBMが「従量課金型Power Systems」を売る意味

 ユーザー企業はIBM Power Systemsで、「IBM AIX」「IBM i」「Linux」といった異なるOSを稼働させることができる。IBM Power Systemsのモニタリングツール「IBM Cloud Management Console」を利用することで、こうしたさまざまなOSが稼働するIBM Power Systemsのリソースの使用状況を、一元的かつリアルタイムに細かく表示できる。

 「従量課金制を取り入れることで、IBMはハードウェアおよびクラウドサービスの新たなユーザー企業を取り込むことができる」。あるアナリストはこう語る。

 ハードウェア製品で従量課金型の料金体系を提供するベンダーとしては、IBMは後発だ。「だからこそ魅力的なものを考え出す必要があった」と、コンサルティング会社Moor Insights & Strategyのプレジデント兼プリンシパルアナリスト、パトリック・ムーアヘッド氏は語る。

 ローエンドのIBM Power Systemsと従量課金型の料金体系を組み合わせることで、コスト意識の高いIT購買担当者の注目を集める可能性がある。その結果「IBM製品はハードウェアベンダーとしてのライバルであるDell TechnologiesやHewlett Packard Enterprise(HPE)の製品と、一線を画することになるだろう」と、あるアナリストは語る。

 IBM Power Systemsの従量課金モデルでは、「IBM Power System E980」「IBM Power System E950」など対象となる複数のサーバのリソースをまとめて、1つのリソースプールとして利用できる。

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