在宅勤務などのテレワークを実現する上で、クラウドサービスは大いに役立つ。クラウドサービスのメリットを引き出すために、導入時に考慮すべき点を紹介する。
クラウドサービスはオンプレミスのシステムよりも導入が容易なことから、在宅勤務などのテレワーク実現のために導入する動きが広がっている。前編「クラウド初心者に贈る『テレワークのためのクラウド導入』のヒント」に引き続き、テレワークのためのクラウドサービス導入のヒントを紹介する。
アプリケーションのフロントエンドをクラウドサービスで構築することは、クラウドサービス導入の第一歩だ。クラウドサービスで構築できるフロントエンドの例として、次の3つがある。
クラウドサービスでフロントエンドを構築すると、IT担当者の従来の作業をあまり変えずに、アプリケーションの拡張性を高めることができる。重要なアプリケーション全体をクラウドサービスに移行させる必要はない。オンプレミスのアプリケーションへのアクセスを、クラウドサービスに構築したフロントエンドで仲介すればよい。
テレワーク中の従業員が社内のアプリケーションにアクセスできるようにするために、VPN(仮想プライベートネットワーク)を用意する企業は少なくない。ただしVPNには、ネットワークに過大な負荷がかかったり、マルウェアの侵害を受けたりして、ビジネスに支障が発生するリスクがある。VPNはインフラの調達や導入作業が必要だったり、テレワーク中の従業員全員が利用できるとは限らなかったりする。クラウドサービスでフロントエンドを構築する方が、高いスケーラビリティと復旧のしやすさを実現できる。
企業のWANにおける長年の課題はレイテンシ(遅延)の低減だ。テレワークによって従業員が各地に分散すると、ネットワークの能力を見直す必要が生じる。テレワークを前提とすると、レイテンシは従業員の所在地に左右される。テレワーク中の従業員がさまざまな地域にいる場合、レイテンシを考慮したネットワークを整備する必要がある。
レイテンシを低減する有力な手段に「SD-WAN」(ソフトウェア定義WAN)がある。SD-WANは、WAN最適化製品と「SDN」(ソフトウェア定義ネットワーク)を組み合わせて進化させた技術だ。
バックアップシステムの機能をクラウドサービスとして利用できる「クラウドバックアップ」は、IT担当者がデータセンターで作業することなくバックアップを実現する手段となる。クラウドバックアップを導入すれば、IT担当者はコンプライアンスを維持しながら、クラウドベンダーが管理するバックアップ機能を利用できるようになる。クラウドバックアップは一般的に、ディザスタリカバリー(DR)機能も提供する。
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