SlackのCEOいわく「ソフトウェア史上最も戦略的な組み合わせ」
SalesforceのSlack買収は「Teams」打倒の決定打か、“Chatterの失敗”の再来か
SalesforceがSlack Technologiesを買収したことで、「Microsoft Teams」に対する「Slack」の競争力が強まる可能性があるとアナリストは予想する。ただしSalesforceにとっては、買収は常に成功だったとは限らない。
salesforce.com(以下、Salesforce)は、2020年12月1日(現地時間)に発表したSlack Technologiesの買収によって、Microsoftのサブスクリプション形式の製品・サービス群「Microsoft 365」に対して新たな攻勢を仕掛けた。Microsoft 365の中には、Web会議やビジネスチャットを含むユニファイドコミュニケーション(UC)システム「Microsoft Teams」(以下、Teams)がある。
Salesforceの企業買収が想起させる“Chatterの失敗”
Teamsに対抗して成功を収めるためには、Salesforceは止まることなくSlack Technologiesのビジネスチャットツール「Slack」に投資して、Salesforceの他の製品・サービスとの連携性を深める必要がある。そうすれば「Slackは非常に興味深く、Teamsに代わる強力な対抗馬になるだろう」と、調査会社Nemertes Researchのアーウィン・レーザー氏は予想する。
Salesforceは、2009年のGroupSwim買収のような過ちを避ける必要もある。
2010年にSalesforceはGroupSwimの技術をベースにした、会社間のソーシャルネットワーキングサイト(SNS)「Chatter」の提供を始めた。だがSalesforceのChatter開発は「やり方が非常にまずかった」とレーザー氏は振り返る。ユーザーインタフェース(UI)は分かりにくく、アプリケーションはモバイルフレンドリーではなかったことから、Chatterの利用は広がらなかった。
この見方には別のアナリストも同意する。調査会社Constellation Researchのアナリストであるディオン・ヒンチクリフ氏は「Salesforceはコラボレーションツールの扱いがうまくなかった」と語る。
Salesforceは、Slack Technologiesの最高経営責任者(CEO)スチュワート・バターフィールド氏とならばもっとうまくやれる可能性がある。バターフィールド氏は買収完了後も開発担当責任者として残る。Salesforceは2021年7月末までに買収を完了する見通しだ。
バターフィールド氏は2009年にSlack Technologiesを創業した。現在、Slackの1日当たりアクティブユーザーは1200万人を上回った。だがMicrosoftやZoom Video Communicationsとの競争が激化する中で、Slack Technologiesの収益の伸びは鈍化していた。MicrosoftとZoom Video Communicationsは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でテレワークを始めたホワイトカラーの需要を受けて、Slack Technologiesよりもはるかに大きく成長した。
「われわれが一緒になれば絶大なチャンスがある」とバターフィールド氏は語り、Salesforceの傘下に入ればSlackを強化できるとの自信を示す。同氏は「個人的に、これはソフトウェア史上、最も戦略的な組み合わせだと確信する。出発が待ち切れない」という声明を発表した。
Salesforceの“別製品”としてのSlack
バターフィールド氏がSlackをスタンドアロンサービスとして運用するのは「登録ユーザーの95%を一夜にして失う事態を避けるためだ」と、コンサルティング企業Deep Analysisのアナリストであるアラン・ペルスシャープ氏は分析する。Slackを使う目的でSalesforceを利用することを望まないユーザー企業は「Mattermost」「Rocket.Chat」「Google Chat」といった代替のビジネスチャットツールに切り替える可能性がある。
Slackは、Salesforceが2019年に157億ドル相当の株式で買収したTableau Softwareのビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Tableau」に続く独立サービスとなる。調査会社Gartnerのアナリストであるマイク・ゴッタ氏は「Slack Technologiesの買収はSalesforceのユーザー企業にとっても恩恵がある」と述べ、Slackを「Salesforceと密接に連携したビジネスチャットサービス」として追加料金無料で提供するのではないかと予想する。
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