GitHub「デフォルトブランチ名変更」の影響【後編】
GitHub「masterブランチ廃止」を警戒する人、歓迎する人、それぞれの意見
デフォルトブランチ名を「master」から「main」に変更したGitHub。この変更はどのような影響をもたらすのか。ネガティブな影響とポジティブな影響を探る。
前編「GitHubが『master』ブランチを『main』ブランチに変更した深い理由」は、分散型バージョン管理システム(DVCS)の「Git」と、Gitを活用したソースコード共有サービス「GitHub」が、「デフォルトブランチ」の名前を「master」から「main」に変更した理由を解説した。デフォルトブランチは、ファイルやディレクトリの状態を保存する「リポジトリ」内で作業履歴の分岐を可能にする「ブランチ」のうち、リポジトリの作成時から存在するブランチのことを指す。
masterからmainへの変更は「困難はあるが恩恵は大きい」?
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Gitのリポジトリのデフォルトブランチ名の変更は、過去にさかのぼって適用されることはなく、既存プロジェクトには影響しない。GitHubユーザーが「master」という名前のブランチをリポジトリに追加したい場合、それを妨げるものはない。GitHubは、masterという用語の使用を勧めないだけであり、禁止してはいない。
当然のことながらGitHubにホストするプロジェクトが、masterブランチの存在を前提としていると問題にぶつかってしまう。開発者は事前に、masterブランチではなくmainブランチを参照するように設定を変更することが必要になる。この修正は簡単だ。ただしこのことは、GitHubにおけるmasterブランチの名前変更に伴い、予想外の問題が発生する可能性があることを示唆する。
「私はこの名前変更を高く評価している。人権意識を喚起するからだ」。カタルーニャオベルタ大学(UOC:Universitat Oberta de Catalunya)のインターネット学際研究所SOM Research Labで助教授を務めるジャビア・カノバス氏はそう語る。「こうした変更は『われわれが暗黙のうちに受け入れていることでも、われわれの社会に合わないことは変えればよい』ということが分かるきっかけになる」(カノバス氏)
マーケティング支援ベンダーHubSpotのチーフアーキテクトを務めるホイットニー・ソレンソン氏は、GitHubリポジトリのデフォルトブランチ名がmasterからmainに変わったことによる恩恵は「一時的な困難よりもはるかに大きい」と言う。ソレンソン氏によると、HubSpotはこの変更への対処を含め、インクルーシブ(包摂的)な文言を自社システムに追加する広範な取り組みを進めている。同氏のチームも「ホワイトリストとブラックリスト」の用語を「許可リストと禁止リスト」に変更しているという。
「こうした変更には時間がかかるが、それに伴うコストが発生するのは一回限りだ。変更の効果は社内的にも対外的にも、ずっと続く」とソレンソン氏は述べる。「今回の変更が一段落しても、これは長期的な取り組みになる。インクルーシブな言葉を使うことは、人と人のやりとりと同じように、どうコーディングするか、何を構築するかにも大きく関わる」(同氏)
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