テレワーカーの引き抜きにどう対抗するか【後編】
“テレワーク離職”を本気で防ぎたい企業がやるべきことは?
テレワーカーの競合への転職を防ぐ手段に「競業避止契約」がある。ただし米国ではこうした契約を禁止する法律が生まれ始めた。こうした中、企業が人材流出を防ぐためにやらなければならないことがある。それは何か。
前編「テレワークで活発化する『優秀な社員の引き抜き転職』 食い止める方法とは?」は、テレワークに伴う従業員引き抜きリスクと、企業が取り得る対策を紹介した。後編は、「競業避止契約」を広く禁止する米国ワシントンD.C.の法律と、その法律が従業員の帰属意識に及ぼす影響を紹介する。競業避止契約は、企業が従業員に対して一定期間競合他社に就職することを禁ずる契約のことだ。
「競合に転職する権利」を法律が保護 “テレワーク離職”を防ぐ鍵は
ワシントンD.C.で働く人は競業避止契約を考える必要は恐らくない。法律が競業避止契約を広く禁止しているためだ。こうした法律は、退職を決断した従業員が競合他社で次の職を探せる可能性を高める。米メリーランド大学(University of Maryland)の経営大学院であるRobert H. Smith School of Businessで、経営と組織に関する助教授を務めるエバン・スター氏は「ワシントンD.C.の法律は、米国の法律の中でも特に広範だ」と語る
競業避止契約を広く禁止するワシントンD.C.の法律は、競業避止契約を締結しようとした雇用主への罰金を定める。競業避止契約について従業員に通知することも雇用主に義務付ける。「テレワークにより、こうした法律が適用される州とそうでない州にまたがって業務に従事する場合は問題が生じる」とスター氏は語る。
経営コンサルティング企業Navio Groupの創設者兼取締役、カルロス・カステラン氏は、テレワークによって従業員の引き抜きが「増加する可能性」を予測する。従業員引き抜きを防ぐために重要なのは「従業員の帰属意識を高く保つことだ」とカステラン氏は指摘。「従業員が帰属意識を高く持ち、仕事に意義を見いだしていれば、自社への献身と結果を生み出す意欲は高まる」と主張する。
テレワーカーを採用する上で、人事部門の管理職は「従業員の帰属意識を確保するために、さらに尽力する必要がある」と、教育ビジネスを手掛けるNomadic Learningが運営する人事専門学校Josh Bersin Academyで学長を務める業界アナリストのジョシュ・バーシン氏は語る。従業員が早期の離職をせず、働き続けたいと考えるのは、勤務先の使命や同僚に好感を持っているためだ。「こうした意識が従業員を企業にとどめる一種の重力になる」とバーシン氏は話す。
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