大規模なクラウド移行の成功談【後編】
脱「Excel」を「DevSecOps」で実現? エネルギー大手は何をしたのか
「Amazon Web Services」「Microsoft Azure」へのITインフラ移行に伴い、World Fuel Servicesは開発プロセスにセキュリティを組み込んだ。こうした「DevSecOps」の実現は何をもたらしたのか。
米大手エネルギー企業World Fuel Servicesは、オンプレミスデータセンター内のITインフラをクラウドサービス群「Amazon Web Services」(AWS)と「Microsoft Azure」に移行した。同時にインスタンス(仮想サーバ)などのクラウドリソースの管理を一元化するため、クラウドセキュリティベンダーSonrai Securityのセキュリティツール「Sonrai Dig」を導入した。
World Fuel Servicesは、開発工程の初期段階からセキュリティ対策を取り入れる「シフトレフト」を実現するため、Sonrai Securityの修復自動化エンジン「Governance Automation Engine」を開発工程に追加する計画を立てている。そのためにまずはITインフラのクラウドサービスへの移行を完了させなければならない。World Fuel Servicesは2021年に2カ所のデータセンターの閉鎖を計画しており、それが移行の最終段階になる。
「DevSecOps」で脱「Excel」の謎
「DevOps(開発と運用の融合)やDevSecOps(開発、セキュリティ、運用の融合)に付随する文化の転換と同様に、アプリケーション開発プロセスへのセキュリティの組み込みには時間がかかる」。World Fuel Servicesのクラウドエンジニアリング部門シニアマネジャーであるアビ・ボルー氏はそう話す。ボルー氏によると同社はまず、クラウドサービスへの移行によってITインフラがどのようになるかを開発者に示した上で、そのITインフラを開発者の作業対象に追加した。「強制的に押し付けることはしなかった」(同氏)
Sonrai Digを使うことで、World Fuel ServicesのセキュリティチームとDevOpsチームの間の連携がある程度促された。開発者が扱い難いと感じていた「Microsoft Excel」や「Microsoft SharePoint」で作成した脆弱(ぜいじゃく)性リストも置き換えることができた。複数のアプリケーションに共通の問題が発生した場合、botによってその問題を修正可能になったという成果もある。「10カ所にある同じ問題を、10人に依頼して修正する必要がなくなった」とボルー氏は述べる。
クラウドサービスへの移行と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)という2つの大変動を受けたWorld Fuel Servicesは、それらに付随する形でレイオフ(一時解雇)も実施した。そうしたさなかにあっても、Sonrai Digを導入して以来、セキュリティインシデントの数は増減がなかった一方、アプリケーションのリリース数はそれまでに比べて増加したという。
DevSecOpsを拡大させる中で、ボルー氏はSonrai Security製品を活用して、より多くのソースコードをオープンソースソフトウェア開発プロジェクトに寄付したり、Sonrai Digのユーザー間でSonrai Digの修正や拡張をしたりできるようになることを望む。「Sonrai Securityに議論をリードしてもらうよりも、ユーザー企業同士の関わり合いを深めてお互いから学び合いたいと考えている」(同氏)
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
2
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
3
クラウド資格コレクターは評価されない? 年収1000万を分ける“OSの理解度”
-
4
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
5
高額な「AI PC」を一般従業員も使えたら? 費用のハードルを一気に下げる方法
-
6
「コピペ運用の限界」に直面するAI活用 7割超が“別画面”のまま使う理由は?
-
7
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
8
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
-
9
2035年までに1億4500万台、急拡大する「フィジカルAI」市場の勝者は誰か
-
10
IT調達担当者が知るべき「IT機器 大インフレ時代の前向きな選択肢」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
4
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
5
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
6
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
NTTドコモが実践したクラウド統合監視 業務量2倍でも残業削減を実現できた理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー