メインフレームで稼働するアプリケーションをクラウドサービスに移行させるには、どのような方法があるのか。3つの方法を説明する。
アプリケーションの拡張やモダナイゼーション(最新化)に伴ってインフラの移行を検討する際、移行先のインフラとして有力な選択肢となるのがクラウドサービスだ。ただしクラウドサービスへの移行が困難なアプリケーションもある。その代表例がメインフレームで稼働するアプリケーション(以下、メインフレームアプリケーション)だ。
ハードウェア構成やOSの条件が適合しないといった理由で、メインフレームアプリケーションのクラウドサービス移行が難しくなることがある。移行にはどのような方法があるのか。現実的な方法を説明する。
メインフレームアプリケーションのクラウドサービス移行を検討するときはまず、ソースコードを保持しているのか、それともソースコードをコンパイラで変換したオブジェクトコードしかないのかを確認する。ソースコードはIT担当者が書き直せる一方、オブジェクトコードは書き直しが容易ではない。例えば「Windows」「UNIX」「Linux」といったオープン系OS以外の、一般的にクラウドサービスでホストできないOSでメインフレームアプリケーションを実行している場合、ソースコードがなければ移行は不可能に近い。こうしたメインフレームアプリケーションをクラウドサービスに移行する場合は、3つの選択肢がある。
移行対象のメインフレームアプリケーションに、メインフレーム以外のインフラで実行できる別バージョンがないかどうか探し、それを利用する。この方法は最もシンプルでコストが小さい。ただしそのアプリケーションがクラウドサービスに最適化された構造や仕様になっているかどうかを確認する必要がある。単にモノリシック(巨大な1つ)のアプリケーションをクラウドサービスでホストするだけでは、かえってコストが高くつく。
クラウドサービスへのメインフレームアプリケーション移行サービスを活用することも選択肢となる。この方法は、クラウドサービスへの移行が難しいメインフレームアプリケーションが複数ある場合に最適だ。こうした移行サービスを手掛けるベンダーにはCornerstone Technology(2020年にGoogleが買収)がある。
他の方法が使えない場合、移行対象のメインフレームアプリケーションに代わる別のアプリケーションを探す。その際は必要な機能を備え、移行前のメインフレームアプリケーションで管理していたデータを簡単な変換で管理できるアプリケーションを選ぶ。代替アプリケーションの方が高機能かつ低コストの場合もある。
モノリシックのアプリケーションをクラウドサービスで実行すると概して非効率になり、クラウドサービスの利点を生かしにくい。クラウドサービスへの移行で処理速度とコスト効率が低下するアプリケーションや、実行できるクラウドサービスが見つからないアプリケーションもある。こうしたアプリケーションは、メインフレームで動かし続けた方が合理的だと考えられる。
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