「メインフレーム」のアプリケーションをクラウドサービスで動かす3つの選択肢メインフレームからクラウドへ【前編】

メインフレームで稼働するアプリケーションをクラウドサービスに移行させるには、どのような方法があるのか。3つの方法を説明する。

2021年04月08日 05時00分 公開
[Tom NolleTechTarget]

 アプリケーションの拡張やモダナイゼーション(最新化)に伴ってインフラの移行を検討する際、移行先のインフラとして有力な選択肢となるのがクラウドサービスだ。ただしクラウドサービスへの移行が困難なアプリケーションもある。その代表例がメインフレームで稼働するアプリケーション(以下、メインフレームアプリケーション)だ。

 ハードウェア構成やOSの条件が適合しないといった理由で、メインフレームアプリケーションのクラウドサービス移行が難しくなることがある。移行にはどのような方法があるのか。現実的な方法を説明する。

 メインフレームアプリケーションのクラウドサービス移行を検討するときはまず、ソースコードを保持しているのか、それともソースコードをコンパイラで変換したオブジェクトコードしかないのかを確認する。ソースコードはIT担当者が書き直せる一方、オブジェクトコードは書き直しが容易ではない。例えば「Windows」「UNIX」「Linux」といったオープン系OS以外の、一般的にクラウドサービスでホストできないOSでメインフレームアプリケーションを実行している場合、ソースコードがなければ移行は不可能に近い。こうしたメインフレームアプリケーションをクラウドサービスに移行する場合は、3つの選択肢がある。

選択肢1.別のバージョンを探す

会員登録(無料)が必要です

 移行対象のメインフレームアプリケーションに、メインフレーム以外のインフラで実行できる別バージョンがないかどうか探し、それを利用する。この方法は最もシンプルでコストが小さい。ただしそのアプリケーションがクラウドサービスに最適化された構造や仕様になっているかどうかを確認する必要がある。単にモノリシック(巨大な1つ)のアプリケーションをクラウドサービスでホストするだけでは、かえってコストが高くつく。

選択肢2.「サービスとしてのメインフレーム」を利用する

 クラウドサービスへのメインフレームアプリケーション移行サービスを活用することも選択肢となる。この方法は、クラウドサービスへの移行が難しいメインフレームアプリケーションが複数ある場合に最適だ。こうした移行サービスを手掛けるベンダーにはCornerstone Technology(2020年にGoogleが買収)がある。

選択肢3.別のアプリケーションに置き換える

 他の方法が使えない場合、移行対象のメインフレームアプリケーションに代わる別のアプリケーションを探す。その際は必要な機能を備え、移行前のメインフレームアプリケーションで管理していたデータを簡単な変換で管理できるアプリケーションを選ぶ。代替アプリケーションの方が高機能かつ低コストの場合もある。

 モノリシックのアプリケーションをクラウドサービスで実行すると概して非効率になり、クラウドサービスの利点を生かしにくい。クラウドサービスへの移行で処理速度とコスト効率が低下するアプリケーションや、実行できるクラウドサービスが見つからないアプリケーションもある。こうしたアプリケーションは、メインフレームで動かし続けた方が合理的だと考えられる。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

技術文書・技術解説 ドキュサイン・ジャパン株式会社

導入が進む一方で不安も、電子署名は「契約の証拠」になる?

契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VMware「永久ライセンス」を継続する“非公認”の方法

半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

無計画なハイブリッドクラウドが招く弊害、次世代のITインフラでどう解消する?

クラウドファーストの流れが加速する中、無計画に構築されたハイブリッドクラウドの弊害が多くの企業を悩ませている。ITオペレーションの最適化を図るためには、次世代のハイブリッドクラウドへのモダン化を進めることが有効だ。

市場調査・トレンド 日本ヒューレット・パッカード合同会社

ハイブリッドクラウド環境におけるワークロードの配置を最適化する方法とは?

ワークロードを最適な環境に配置できる手法として注目され、多くの企業が採用しているハイブリッドクラウド。しかし、パフォーマンス、法令順守、コストなどが課題となり、ハイブリッドクラウド環境の最適化を難しくしている。

市場調査・トレンド 株式会社QTnet

業種別の利用状況から考察、日本企業に適したクラウドサービスの要件とは?

システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...