レガシーアプリのDBMSを「クラウドデータベース」に移行させる賢い方法クラウドデータベースの選び方【第4回】

オンプレミスのインフラで稼働させているレガシーアプリケーションをクラウドサービスに移行させる際の課題が、DBMSの移行だ。移行先として「クラウドデータベース」を選ぶ場合、失敗しないためには何をすべきか。

2020年09月25日 05時00分 公開
[Kurt MarkoTechTarget]

 オンプレミスのインフラで稼働させてきたデータベース管理システム(DBMS)を、DBMSのクラウドサービス「クラウドデータベース」に移行させる際の負荷は、そのDBMSを利用するアプリケーションに依存する部分が大きい。自社にとって最善の決定をするためには、何に気を付ければよいのだろうか。

レガシーアプリのクラウド移行時にクラウドデータベースをどう選ぶか

 新しく開発するアプリケーションであれば、開発段階でクラウドデータベースに合わせた仕様にすればよい。古いハードウェアからの脱却やコスト削減を理由に、レガシーアプリケーションのクラウドサービスへの移行を選ぶ企業もあるだろう。こうした企業は、オンプレミスのDBMSをクラウドデータベースに移行するかどうかを決めるだけではなく、移行先のアプリケーションでDBMSを適切に利用できるようにする必要がある。

 レガシーアプリケーションをクラウドサービスに移行させるときに、単一のクラウドサービスへの移行よりも「ハイブリッドクラウド」への移行を選んだ方が、リスク管理や移行作業の負荷の面で優れている。ハイブリッドクラウドは、オンプレミスのインフラに構築したプライベートクラウドと、各種クラウドサービスとの組み合わせだ。

 ハイブリッドクラウドを採用することで、オンプレミスのインフラにあるデータをクラウドサービスに複製したり、クラウドサービスからオンプレミスのレガシーアプリケーションにアクセスしたりできる。IT部門は、バックアップ用にオンプレミスのレガシーDBMSを運用しながら、主要DBMSとしてクラウドデータベースを利用することが可能だ。

 レガシーアプリケーションのクラウドサービスへの移行に合わせてクラウドデータベースを採用することを決めたら、どのクラウドデータベースを選ぶかが重要になる。その際、移行先のクラウドサービスと同じベンダーが提供し、かつそのベンダーの独自技術を使ったクラウドデータベースを採用すると、クラウドサービスのメリットを引き出しやすくなる可能性がある。

 例えばAmazon Web Servicesは独自のリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)「Amazon Aurora」を開発し、同社のクラウドデータベースで利用できるようにしている。DBMSベンダーでもあるMicrosoftは、当然ながら自社のDBMSをクラウドデータベースに生かしており、GoogleもNoSQLサービス「Cloud Bigtable」など独自技術を使ったクラウドデータベースを提供している。

 クラウドデータベースの採用を決めたら、同じベンダーが提供するデータ分析サービスや機械学習サービスの活用も検討するとよい。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

運用負荷やコストが増大、複数世代にわたるIT環境のモダン化をどう進める?

AI活用やデータドリブン経営が加速する一方で、レガシーインフラが問題になるケースが増えている。特に複数の世代にわたってIT資産が混在しているインフラ環境では、運用負荷やコストが増大してしまう。この問題をどう解消すればよいのか。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

無計画なハイブリッドクラウドが招く弊害、次世代のITインフラでどう解消する?

クラウドファーストの流れが加速する中、無計画に構築されたハイブリッドクラウドの弊害が多くの企業を悩ませている。ITオペレーションの最適化を図るためには、次世代のハイブリッドクラウドへのモダン化を進めることが有効だ。

市場調査・トレンド 日本ヒューレット・パッカード合同会社

ハイブリッドクラウド環境におけるワークロードの配置を最適化する方法とは?

ワークロードを最適な環境に配置できる手法として注目され、多くの企業が採用しているハイブリッドクラウド。しかし、パフォーマンス、法令順守、コストなどが課題となり、ハイブリッドクラウド環境の最適化を難しくしている。

製品資料 富士通株式会社

小売業のDXを加速する次世代のプラットフォームとは

小売業界にとって、顧客体験(CX)、従業員体験(EX)の向上ならびにDX推進は重要度の高い課題である。多拠点、多店舗、他業態を展開する小売業でCXとEXをグローバルに向上する次世代のリテールコマースプラットフォームとは。

製品資料 レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社

マンガで分かる:オンプレミスとクラウドの“二重管理”を解消する方法

インフラのハイブリッドクラウド化を進める一方、オンプレミスとクラウドを管理するためのツールが異なるため、“二重管理”が発生している企業は少なくない。これでは運用負荷は高まるばかりだ。そこでこの状況を解消する方法を解説する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。