小売業大手のIKEAはオープンソースRDBMS「PostgreSQL」を活用している。数あるRDBMSの中からPostgreSQLを選択するに至ったプロセスと理由を担当者が語る。
「PostgreSQL」(「Postgres」とも)は、代表的なオープンソースのRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)だ。2020年6月23〜24日の2日間にわたって開催されたPostgreSQL関連のオンラインカンファレンス「Postgres Vision 2020」では、ユーザー企業がPostgreSQLの過去、現在、未来について意見を交換した。このカンファレンスを主催したEnterpriseDB(「EDB」の名称で事業展開)は、PostgreSQLの商用版だけでなくコミュニティーエディション(無償版)を利用する企業に、サポートサービスを提供している。
グローバルに小売事業を展開するIKEAでデータベースインフラマネジャーを務めるディネシュ・アディカリ氏によると、同社は起業以来、基本的にプロプライエタリのDBMSを使用してきた。同社のEコマース(EC:電子商取引)拡大に伴い、このDBMSは近年、スケーリングの課題を抱えるようになっていた。そこで同氏が率いるチームは、利用中のDBMSのアセスメントを実施することにした。
アディカリ氏のチームはこのアセスメントで、総所有コスト(TCO)の分析などIKEAがデータベースをどのように使っているのかを広範に調査した。その結果、IKEAでは本番環境よりも開発・テスト環境の方が、データベースの利用頻度が高いことを突き止めた。データベースのプロビジョニング(利用のための準備)に時間がかかっていることも明らかになった。
アセスメントの結果を受けて、IKEAは社内のデータベース運用を一元化、効率化するシステムの構築を決めた。目的に沿ったシステムを選定した結果、PostgreSQLの採用に至った。
PostgreSQLの特徴の中で、アディカリ氏が魅力を感じたのはコミュニティーだ。「多種多様な開発者が知識を共有し、PostgreSQLの発展に貢献していることから、PostgreSQLがIKEAに適するという確信を持てた」と同氏は話す。
アディカリ氏のチームは、PostgreSQLを自らの手で導入するつもりで作業に取り掛かった。だがシステム構築に必要なスキルが社内でまかなえないと判断し、EDBのサポートを受けることにした。現在もIKEAはデータベースの近代化を図るための作業に取り組んでいる。
IKEAが目指す状態の実現までには時間がかかる見込みだが「技術的には正しい方向に進んでいる」とアディカリ氏は語る。同社はPostgreSQLを導入し、EDBからサポートを受けることで、自信を持って取り組みを進められているという。
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