竹中工務店が建設データ活用システムを「AWS」で構築した事例や、クラウドサービス移行時の満足度調査結果など、クラウドの主要ニュースを取り上げる。
クラウドサービスは最新技術をシステムに取り入れやすくしたり、インフラの可用性を向上させたりする効果が見込める。こうした効果を期待してクラウドサービスを導入した竹中工務店やぴあの事例など、クラウドに関する主要なニュースを紹介する。
総合建設会社の竹中工務店は、建設工事をはじめとした事業全体にわたるデータを集約して一元管理するためのシステム「建設デジタルプラットフォーム」を構築した。これにより建設工事に必要なデータの共有や分析の効率化を狙う。インフラにはAmazon Web Services(AWS)の同名クラウドサービス群を採用。同システムの中核となるデータレイクにはストレージサービスの「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)を、施工管理に必要な人員数をシミュレーションする機械学習エンジンの構築には機械学習モデル作成サービスの「Amazon SageMaker」を採用した。データのリアルタイム処理にはストリーミングデータ処理サービスの「Amazon Kinesis」を利用し、各クラウドサービス間のスムーズな連携を実現する。AWSを採用した理由として竹中工務店は、世界中での導入実績やクラウドサービスの種類の豊富さを挙げる。今後同社は同システムで蓄積したデータを施設管理会社や他の建設会社と共有することによる、新しい事業機会の創出を目指す。(発表:アマゾン ウェブ サービス ジャパン<2021年12月16日>)
オンラインチケット販売サービス「チケットぴあ」を運営するぴあは、チケットの在庫管理や興行管理、取引情報管理などを担う基幹システムのデータベース管理システム(DBMS)を2023年に刷新。OracleのクラウドDBMS「Oracle Exadata Cloud Service」に移行する。移行にはデータ移行サービスの「Oracle Cloud Infrastructure GoldenGate」を使う。従来の基幹システムではオンプレミスのDBMS「Oracle Database」を利用していた。クラウドDBMSへの移行で、チケット発売時にシステムへアクセスが集中した際の安定稼働の実現や、繁忙期や閑散期に合わせてリソース使用量を調整することによるインフラのコスト削減を目指す。Oracle Exadata Cloud Serviceの採用に当たっては、既存のシステムと同等のデータベースの処理速度を実現する点に加え、Oracle Databaseのクラスタリング機能「Oracle Real Application Clusters」が利用できることで高い可用性が実現できる点を評価した。(発表:日本オラクル<2021年12月13日>)
コンビニエンスストアチェーンのローソンは、個々の店舗に合わせた売り上げの向上施策を立てるために、「店舗運営支援 AI」と名付けたAI(人工知能)システムの導入を進める。店舗運営支援 AIは、匿名化したPOS(販売時点情報管理)データや顧客データに加えて、店舗に設置したカメラやマイクから取得した顧客の滞留時間や商品の購入率、店員のあいさつの音声といったデータを分析。各店舗の売り上げ向上につながる施策や売り場の改善案を提案する。同システムのインフラとしてMicrosoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」を採用。機械学習モデル作成サービスの「Azure Machine Learning」やデータマネジメント・分析サービスの「Azure Synapse Analytics」、データレイクサービスの「Azure Data Lake Storage Gen2」を利用する。神奈川県の4店舗に先行導入し、全国の店舗への導入拡大を目指す。(発表:ローソン、日本マイクロソフト<2021年12月2日>)
調査会社IDC Japanが実施した国内クラウド需要調査結果によると、自社で利用中のIaaS(Infrastructure as a Service)とPaaS(Platform as a Service)の全体的な評価を「良い」と答えたユーザー企業が44.1%、「普通」が47.1%、「悪い」が5.5%だった。同社によるとIaaSやPaaS、SaaS(Software as a Service)といったクラウドサービスの導入前は「ITインフラのコスト削減」に高い期待を寄せる企業が多いものの、利用時や導入後での評価ではコスト削減効果に不満を持つ企業もあった。その他のクラウドサービス導入後のユーザー企業の課題として、IaaSとPaaSでは「過去資産の継承性」、SaaSでは「ユーザー部門の使い勝手」も挙がった。国内クラウド需要調査は、何らかのクラウドサービスを利用中の国内企業を対象としたアンケート調査で、2021年10月に実施し、444社から有効回答を得た。(発表:IDC Japan<2021年12月1日>)
「WebARENA IndigoPro」は主要なユーザー企業として中小企業を想定したクラウドサーバサービス。標準でサービス品質保証制度(SLA)を備えており、月間累計故障時間30分を超えた場合に有償オプションを除くサービスの利用料金を全額返金する。サービス利用料金は時間単位の課金だが月額上限を設定している点や、データ転送量が無料な点からコスト管理がしやすいことが特徴だという。東京リージョン(地域データセンター群)と大阪リージョンが選択可能で、2つのリージョンを組み合わせた冗長化やバックアップも可能だ。複数のサーバスペックのインスタンス(仮想サーバ)を用意しており、「Linux」系OSでメモリが4GB、仮想CPU(vCPU)が2つのインスタンスは1時間につき5.4円(税別、以下同じ)で、月額上限料金が3600円となっている。(発表:NTTPCコミュニケーションズ<2021年12月20日>)
JBCCの「VMware仮想環境の最適クラウド移行サービス」は、VMware製品で構築したオンプレミスの仮想マシン(VM)の最適な移行先を提案し、VMwareのVM移行ツール「VMware vSphere vMotion」を用いた移行支援を実施する。ユーザー企業のシステム規模やクラウドサービスの利用状況、クラウドサービスへの移行方針を踏まえ、Microsoftの「Azure VMware Solution」やAWSの「VMware Cloud on AWS」、IBMの「IBM Cloud for VMware Solutions」といったVMware製品の実行サービスの中から最適な移行先を選定する。JBCCは自社の持つVMware製品のクラウドサービス移行のノウハウを生かし、ユーザー企業のVMの利用状況に基づき、稼働させるVMを必要最小限の数に集約することで、コスト削減が実現できる点をメリットとして訴求する。(発表:JBCC<2021年12月6日>)
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契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。
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