テレワークでかかる見えにくいコスト4つ【後編】
テレワークで孤立する社員を放置すると“余分なコスト”が生まれる理由
テレワークによって生産性が下がるタイプの従業員もいる。そうした従業員の悩みを「個人の問題」と放置して、適切な支援を提供しないでいると、雇用主は思わぬコストを負担する可能性がある。その理由は。
テレワークは雇用主にも従業員にもメリットをもたらす。例えば雇用主にとっては事業継続性の向上や多様な人材確保につながるメリットがあり、従業員にとってはワークライフバランスや生産性の向上につながる可能性がある。一方テレワークを恒久化することでようやく見えてくる「隠れたコスト」もある。
前編「『テレワークでコスト削減』は幻想 新たにかかる“意外なコスト”とは」は、隠れたコストのうち2つを紹介した。後編となる本稿は残る2つを紹介する。
コスト3.既存オフィスの維持コスト
テレワークによってオフィスの必要性が下がることは、企業にとっての経済的メリットにつながる。ただし長期間の賃貸契約がある場合、実際に恩恵を受けられるのは何年も先になる可能性がある。テレワークを恒久化してオフィスの縮小計画に取り組む企業がある一方で、テレワークの恒久化が自社に可能なのかどうかが分からず決めかねている企業や、思い切ったオフィス縮小を計画していない企業もある。
その結果、誰もいないオフィスや、稼働率が低くなったオフィスが存在している。従業員は自宅の快適な環境で働くことができて喜んでいる一方で、企業は依然として電気代や家賃などオフィス維持にかかるランニングコストを負担している。
デスクや固定電話、会議室、コピー機など、従業員がオフィスで働くときにだけ使用する遊休資産が、資産計上の有無にかかわらず、本当に必要かどうかをよく考えることが望ましい。設備を維持することで得られる効用がほとんどない状況で、リース、保守、技術サポートのコストを負担し続けているケースがある。こうしたコストは、従業員のオフィス使用とは関係なく継続してかかる。しかも現在は、テレワークを実現するために必要なコストも新たにかかっている。
コスト4.“孤立した従業員”の生産性維持費
これまでに紹介した3つの例はハードウェアコストであり、財務面の影響は比較的分かりやすい。だが雇用主は、テレワークによって必要となる思いがけないコスト、従業員の生産性維持にかかるコストについても考える必要がある。
テレワーカーの中には、テレワークによって生活の自由度が上がった結果、仕事の効率が上がる従業員がいる。一方テレワークでは従来通りの生産性を維持することが難しく、支援が必要な従業員もいる。自宅で使用するPCのスペックが低い、自宅に1人でいると自己管理が難しいなど、生産性が下がる理由は従業員によってさまざまだ。
誰もがテレワークに向いているとは限らないからこそ、こうした従業員が孤立してしまうことを防ぐための活動やツール、物資に、企業は投資する必要がある。企業文化と仲間意識の構築は、最新のコミュニケーションツールの提供と同じくらい重要だ。職場の多様性が高まり、従業員の管理は画一的な手法ではうまくいかなくなりつつある。従業員の孤立や支援不足といった問題は、企業の財務面にすぐに影響を及ぼすわけではないが、まずはエンゲージメントとチームワークの向上を目指すべきだ。対処しないでいると、人材の定着率低下と生産性の低下を招き、いずれは財務面に影響する恐れがある。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[ポールトゥウィン株式会社] 開発スピードと品質を両立、DONUTSが実践する「ハイブリッドなQA体制」の構築術 -
製品レビュー
[ポールトゥウィン株式会社] 開発スピードと品質は両立できる? DONUTSの「ジョブカン」に学ぶQA戦略 -
市場調査・トレンド
[レッドハット株式会社] 「プラットフォームエンジニアリング」調査レポート:利点・課題・未来像を詳説 -
市場調査・トレンド
[レッドハット株式会社] 生成AI活用のためのテクノロジー基盤、構築に際しての7つの検討事項とは? -
製品資料
[レッドハット株式会社] ビジネスの現場へのAI導入と活用、何から始めてどのように進めるべきか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
2
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
3
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
4
年収700万超エンジニアに共通するスキルと「もっと勉強すべきだった分野」
-
5
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
6
GPU偏重に迫る転換点 AnthropicがAkamaiにCPUインフラ託す理由
-
7
「サイバー犯罪株式会社」に潜入 現地調査で判明した“犯罪者求人”の実態
-
8
AIエージェント暴走をミリ秒で隔離 NVIDIAがハードで挑む暴走抑止
-
9
なぜ情シスは評価されにくい? 読者調査で見えた「成果が見えない仕事」第1位は
-
10
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
3
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
4
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
5
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
6
AI活用を停滞させる「2:6:2の壁」を乗り越えるためのポイントとは?
-
7
ソフトウェア開発の属人化と手戻りをどう防ぐ? 速さと品質を両立させる方法
-
8
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
9
複雑な組織構造で一度は頓挫した電子化、東京女子医科大はどう全学展開したか
-
10
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー