テレワークは雇用主にも従業員にもメリットをもたらす。例えば雇用主にとっては事業継続性の向上や多様な人材確保につながるメリットがあり、従業員にとってはワークライフバランスや生産性の向上につながる可能性がある。一方テレワークを恒久化することでようやく見えてくる「隠れたコスト」もある。
前編「『テレワークでコスト削減』は幻想 新たにかかる“意外なコスト”とは」は、隠れたコストのうち2つを紹介した。後編となる本稿は残る2つを紹介する。
テレワークによってオフィスの必要性が下がることは、企業にとっての経済的メリットにつながる。ただし長期間の賃貸契約がある場合、実際に恩恵を受けられるのは何年も先になる可能性がある。テレワークを恒久化してオフィスの縮小計画に取り組む企業がある一方で、テレワークの恒久化が自社に可能なのかどうかが分からず決めかねている企業や、思い切ったオフィス縮小を計画していない企業もある。
その結果、誰もいないオフィスや、稼働率が低くなったオフィスが存在している。従業員は自宅の快適な環境で働くことができて喜んでいる一方で、企業は依然として電気代や家賃などオフィス維持にかかるランニングコストを負担している。
デスクや固定電話、会議室、コピー機など、従業員がオフィスで働くときにだけ使用する遊休資産が、資産計上の有無にかかわらず、本当に必要かどうかをよく考えることが望ましい。設備を維持することで得られる効用がほとんどない状況で、リース、保守、技術サポートのコストを負担し続けているケースがある。こうしたコストは、従業員のオフィス使用とは関係なく継続してかかる。しかも現在は、テレワークを実現するために必要なコストも新たにかかっている。
これまでに紹介した3つの例はハードウェアコストであり、財務面の影響は比較的分かりやすい。だが雇用主は、テレワークによって必要となる思いがけないコスト、従業員の生産性維持にかかるコストについても考える必要がある。
テレワーカーの中には、テレワークによって生活の自由度が上がった結果、仕事の効率が上がる従業員がいる。一方テレワークでは従来通りの生産性を維持することが難しく、支援が必要な従業員もいる。自宅で使用するPCのスペックが低い、自宅に1人でいると自己管理が難しいなど、生産性が下がる理由は従業員によってさまざまだ。
誰もがテレワークに向いているとは限らないからこそ、こうした従業員が孤立してしまうことを防ぐための活動やツール、物資に、企業は投資する必要がある。企業文化と仲間意識の構築は、最新のコミュニケーションツールの提供と同じくらい重要だ。職場の多様性が高まり、従業員の管理は画一的な手法ではうまくいかなくなりつつある。従業員の孤立や支援不足といった問題は、企業の財務面にすぐに影響を及ぼすわけではないが、まずはエンゲージメントとチームワークの向上を目指すべきだ。対処しないでいると、人材の定着率低下と生産性の低下を招き、いずれは財務面に影響する恐れがある。
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