MicrosoftのDaaS「Azure Virtual Desktop」には、利用料金に影響する複数のコスト要素がある。AVDのコスト要素である「VMの利用料金」を節約する方法を説明する。
MicrosoftのDaaS(Desktop as a Service)「Azure Virtual Desktop」(AVD)は、同社のクラウドサービス「Microsoft Azure」で仮想デスクトップを実行し、エンドユーザーが場所や端末を問わず「Windows」を利用できるようにする。前編「Azure Virtual Desktopの料金を正しく見積もる『2つの重要な料金』とは」に続く本稿は、AVDの利用料金を削減する方法を説明する。
AVDを利用するときのTCO(総保有コスト)の大半は、Azureリソースの使い方で決まる可能性がある。このAzureリソースには、仮想デスクトップを稼働させるための仮想マシン(VM)サービス「Virtual Machine」のVMやストレージ、ネットワークなどが含まれる。
必要なVMを用意するための主な料金体系として、通常の従量制課金制と、予約制の「Azure Reserved Virtual Machine Instances」がある。VMの拡張や縮小を容易にしたいなら、従量制課金モデルが最適だ。AzureではIT管理者は必要に応じてVMを作成したり、削除したりできる。そのため仮想デスクトップの利用規模に合わせて利用料金を支払える。
Azure Reserved Virtual Machine Instancesが最適なのは、長期間にわたって特定の数のVMが必要になることがあらかじめ分かっている場合だ。VMのライセンスを1年または3年の定期契約にすると、Microsoftは大幅な値引きを実施する。VMを長期間予約すれば、割引額が大きくなる。
ナレッジワーカー(知識労働者)の仮想デスクトップには、2基のvCPU(仮想CPU)と4GBのメインメモリを備えたVMを用意することをMicrosoftは推奨している。この要件を満たすインスタンス(VMの種類)一つが「B2s」だ。Microsoftの料金計算ツールによると、「Azure Hybrid Benefit」(オンプレミスの「Windows Server」や「SQL Server」を所持するユーザー企業向けの割引プラン)付きのB2sは、米国中部リージョン(リージョン:地域データセンター群)の場合、月額約36.43ドルになる。ただしAzure Reserved Virtual Machine Instancesによる1年間の予約でB2sを使う場合、価格は月額約21.3ドルまで下がり、3年間の予約だと約13.7ドルになる。従量制課金制と比較して、1年間の予約では約41%、3年間の予約では約62%の節約だ。Azure Reserved Virtual Machine Instancesの使用で節約できる金額は、インスタンスの種類によって大幅に異なる。
グラフィックデザイナーなど、AVDのエンドユーザーによってはより高速なデータ処理やデータ転送が可能なVMを必要とすることがある。Microsoftは、仕事でグラフィックを多用するエンドユーザーの仮想デスクトップ用インフラとして、12基のvCPUと112GBのRAMを備えたVMを推奨する。
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