クラウドサービスを利用する場合、リソースの利用を確約したり、制限を受け入れたりすることで料金の割引が受けられることがある。「Microsoft Azure」と「Google Cloud Platform」の割引プログラムを紹介する。
大手クラウドベンダーのAmazon Web ServicesとMicrosoft、Googleは、仮想マシン(VM)サービスをはじめとするクラウドサービスの利用料金の割引プログラムを提供している。AWSの割引プログラムを紹介した前編「AWSが安くなる「リザーブドインスタンス」「スポットインスタンス」「Savings Plans」とは」に続く本稿は、「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」の主な割引プログラムと適用条件を説明する。
「Azure Reserved VM Instances」(RIs)は、Azureのインスタンス(仮想サーバ)リソースを予約することで受けられる割引プログラムだ。インスタンスの基本料金から最大72%分割り引く。オンプレミス版のサーバOS「Windows Server」とデータベース管理システム(DBMS)「SQL Server」のライセンスをAzureで利用できる「Azure Hybrid Benefit」(Azureハイブリッド特典)を併用すると、最大80%のコスト削減が可能だとMicrosoftはアピールする。
RIsでは、Azureのユーザー企業がリージョン(地域データセンター群)とインスタンスの種類、利用期間(1〜3年のいずれか)を事前に選択して予約する。いつでもインスタンスの種類を変更したり、予約をキャンセルしたりすることが可能だ。ただしインスタンスの変更先は限られ、年間払戻額は最大5万ドルとなっている。
「Azure Spot Virtual Machines」は、VMサービス「Virtual Machines」やVMの自動スケールアウトサービス「Azure Virtual Machine Scale Sets」で利用するインスタンスに適用できる割引プログラムだ。実行時間の短いワークロード(アプリケーション)やインスタンスの中断に耐えられるワークロード向けに設計されている。
Azure Spot Virtual Machinesでは、実行中のインスタンスがいつでも中断される可能性がある。ユーザー企業はインスタンスが停止されたときに「インスタンスを完全に削除する」「インスタンスへのリソースの割り当ては停止するが、インスタンスと関連付けられているストレージは維持する」という2つのポリシーのいずれかを選択できる。割引額は標準料金に対して最大90%分だ。
Googleも他のクラウドベンダーと同様に、1年または3年という期間で決まったスペックのインスタンスの利用を確約するユーザー企業に、割引プログラムを提供している。この「Committed use discounts」(確約利用割引)は、インスタンスの種類に応じて最大で通常料金の57%分から70%分の割引を適用する。
確約利用割引は、特定のリージョンで使用するリソースの総数を確約する契約で、指定された範囲内であればインスタンスの再構成が可能だ。ただしGPU(グラフィックス処理プロセッサ)や物理SSDなどインスタンスの拡張オプションを利用する場合は、利用するGPUの種類やストレージ容量などを事前に決めて予約する必要がある。
Googleの「Preemptible Virtual Machines」(プリエンプティブル仮想マシン)を使用すると、企業はインスタンスの利用料金を最大80%削減できる。特定のリージョンで使用されていないリソースを使用する点において、プリエンプティブル仮想マシンはAWSの「Amazon EC2 Spot Instance」(Amazon EC2スポットインスタンス)と似ている。
プリエンプティブル仮想マシンには注意点がある。インスタンスの最大稼働時間は24時間で、Googleがインスタンスをシャットダウンする際に与える猶予時間は30秒だ。このような制約事項があることから、プリエンプティブル仮想マシンは一部が停止しても全体は動作し続けるフォールトトレラントなワークロードやバッチ処理に適している。
「Sustained use discounts」(継続利用割引)は、GCPの継続利用に対する返礼として提供されている。1カ月間に一定以上の割合で、VMサービス「Compute Engine」の特定リソースを使用すると、最大30%分の割引が自動適用される。割引率はインスタンスタイプによって異なる。
継続利用割引は仮想CPU(vCPU)とメモリにのみ適用され、PaaS(Platform as a Service)の「App Engine」でインスタンスを稼働させる「App Engine Flexible Environment」やデータ処理サービスの「Cloud Dataflow」で作成したインスタンスには適用されない。
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