三井不動産が基幹システムを「OCI」に移行 採用の決め手は?NEWS

三井不動産は商業施設運営を支える基幹システムを「OCI」に移行した。当初は他のクラウドサービスへの移行を検討していたというが、最終的には何がOCI採用の決め手となったのか。

2022年04月20日 05時00分 公開
[梅本貴音TechTargetジャパン]

 三井不動産はオンプレミスインフラで稼働させていた基幹システムと災害復旧(DR)用のインフラを「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)に移行した。同社の基幹システムは「三井アウトレットパーク」や「三井ショッピングパークららぽーと」など同社の商業施設の運営管理を担っており、商業施設本部や出店企業の従業員を含む約3300人のユーザーが利用する。

クラウド移行の課題 三井不動産が最終的にOCIを選んだ理由

 システム構築の際、事業者が提供するクラウドサービスの利用を優先する「クラウドファースト」を基本方針として、マルチクラウド(複数のクラウドサービス利用)を活用したシステム基盤構築を進めている三井不動産。同社はオンプレミスインフラのリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)「Oracle Database」で稼働していた基幹システムの、クラウドサービスへの移行を検討していた。

 当初、三井不動産が基幹システムの移行先として検討していたのは、従来利用していたクラウドサービスだった。しかし、Oracle Databaseの拡張性と可用性を高めるオプション機能「Oracle Real Applications Clusters」(Oracle RAC)と同等の要件を満たすには大規模な改修が必要であり、そのために必要な時間とコストが課題として挙がっていた。

 そのような中、OCIの大阪リージョンが東京リージョンに続いて開設し、三井不動産の「国内2拠点で運用可能」という要件を満たした。OCIであればオンプレミスインフラと同様のOracle RAC構成を組むこともできることから、三井不動産は候補をOCIに絞り、採用するに至った。

スムーズなクラウド移行を実現 導入効果は

 三井不動産は2021年10月に基幹システムのOCIへの切り替えを完了。業務に支障を来すことなく、スムーズなシステム移行が実現したという。

 OCIの導入成果として、三井不動産はバッチ処理(一括処理)の高速化や、DRのシステム切り替え時間短縮などを挙げている。同社は運用管理には監視や分析の機能を備えるツール群「Oracle Management Cloud」を利用。OCIのコンソールからシステムの稼働状況を把握できるため、トラブル発生時はベンダーに問い合わせることなく、自ら原因を特定することも可能になった。

 コスト面に関しては、オンプレミスで構築した場合と比較して5年間のTCO(総所有コスト)で約30%の削減が見込めるという。三井不動産で基幹システムの移行を統括した桜井 昇氏は「OCIは他のクラウドサービスと比べて、コスト面で競争力が非常に高い」と評価する。

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